先日、友人から「口約束は怖いな~」という出来事を聞き、改めて契約書の必要性を感じました。ビジネスシーンではもちろん、プライベートでも不動産の購入や金銭貸借などで契約書を作成する機会はあると思います。
ところで、内容を確認していざ押印となった時、「あれ?どこに判子を押すのかな?」と迷った経験はありませんか?
「割印」「契印」どちらも契約書でよく使うけど......
「割印」「契印」どちらも契約書作成でよく使う言葉です。違いを簡単に説明すると「割印」は契約を結んだ後にどちらかが、あるいは両方が自分の都合のいいように内容を改ざんしてしまうリスクを避けるため、お互いが持つ契約書を上下にずらして重ね押印することで、契約書は同一のものであることを証明します。
「契印」は契約書が複数ページになった時にページの継ぎ目ごとに押していくことで、差し替え、抜き取りなど当初の契約内容とは違ったものにしてしまうリスクを避けます。
押印する場所ですが、「割印」は契約書の上辺になります。
左側に甲の者、右側に乙の者です。「契印」はホチキス止めや製本テープを貼った側に押します。製本テープを使用した場合は表と裏の両表紙だけ押印すれば大丈夫です。甲の者が上側、乙の者が下側です。
しばしば、甲乙の位置が逆であったり、意外な箇所に押したりした契約書を見ますが、ビジネスシーンにおいては「この会社は大丈夫かしら?」と少々不安な気持ちになります。
自社が「甲」「乙」どちらなのか確認して正しい位置に押すことが大事ですね。
日本では昔から「左」側が上位
契約書以外でも収入印紙に割印を押すことがあります。「甲」「乙」の記載がない場合、自分が先に押印するのであれば「乙」=右側に押すとよいでしょう。
日本では昔から「左右」では「左」が上位とされています。自分が右側に押すことで相手に敬意を表すこともできます。
このように、相手が押印する箇所に困らないよう、作成者は事前に押印箇所を鉛筆で印をつけ、付箋を貼っておくと親切です。契約に関する業務をしている人にとっては当たり前の光景ですが、不慣れな人にとっては面倒かつ不安なものです。
特にご年配のお客様の場合、早口で説明されても理解が追い付かないこともあります。押印をお願いする場合は時間と心に余裕をもって丁寧な説明をすることが後日のトラブル防止に繋がります。
そして、当然ながら「約束事」は書面で残すことが大切です。(篠原あかね)