「よしもとの芸人さん」もアイデア出しの協力を!
―― 吉本興業との連携は、どのように生まれたのでしょう。
山口社長「会社の売り上げは、スタートアップの会社の株式を現金化した時に初めて生まれます。なので、売り上げが立つまでに最低でも3~4年はかかるということを想定していました。その間のまとまった資金が必要なのですが、『今こうしたスタートアップの取り組みが、エンターテイメント業界でも、日本の産業全体にとっても必要だ』ということを、いろんな場で語っていたところ、吉本興業の大﨑洋社長が『やってみなさい。サポートするから』と背中を押してくださって、会社を設立することができました。
有識者で構成されるメンターの方にもサポートいただきながら、少数精鋭で運営していきます」
―― VERSUSの今後の目標を教えてください。
山口社長「グローバル化の波に押され、日本のエンターテイメント業界の従来のビジネスモデルが陳腐化しはじめている中で、グローバル市場で戦えるような対抗軸をつくりたいという想いがあります。
これから出てくるスタートアップは、おそらくアジアマーケットで勝負するということになりますので、アジアの起業家のネットワークなどをつくりたいと思っています。
また身近な面では、吉本興業のお笑い芸人さんに、事業創出に参加いただくことを考えています。具体的には、起業家とタレントによるアイデアソンなどを行う予定です。
エンターテック分野の知見とネットワークがアジアで一番ある「場」にして、スタートアップを成功させて、成功した会社が次のスタートアップをサポートするようなサスティナブルな取り組みを続けていければいいですね」
(聞き手:戸川明美)
なお、エンターテイメント領域に特化したスタートアップスタジオを展開するVERSUSは2019年4月7日、「起業ワークショップ2019春 ~インバウンド編~」を、東京・新宿の吉本興業・東京本社で開講する。
この起業ワークショップは、スタートアップビジネスプランを3か月(全7回)にわたって磨き上げる。優秀なアイデアはVERSUSの案件化検討の対象となり、実際の起業に即、結び付けることができる。
山口 哲一(やまぐち・のりかず)
エンターテック・エバンジェリスト、音楽プロデューサー
アーティストマネージメントからITビジネスに専門領域を広げ、2011年から著作活動をはじめる。エンタメ系のスタートアップを対象としたアワード「START ME UP AWARD」をオーガナイズ。プロ作曲家を育成する「山口ゼミ」やデジタル時代のコンテンツプロデューサーを育成する「ニューミドルマン養成講座」を主宰するなど、次世代の育成に精力的に取り組んでいる。
「デジタルコンテンツ白書」(経済産業省監修)編集委員
経済産業省「平成30年度コンテンツ産業新展開強化事業」検討委員