新人たちの「ガラスのハート」にどう対処 「新人を育てて戦力化する」ための心得(大関暁夫)

富士フイルムが開発した糖の吸収を抑えるサプリが500円+税で

新人が身につけたのに、先輩がなってない!

   トラブルの相手が優しいお客様ならいいのですが、必ずしもそうとばかりではなく、少しご機嫌の悪い荒っぽいお客様に当たろうものなら、何の防御策も持たない新人の精神面は簡単に崩壊します。

   しかも、トラブルが発生しても周囲は我関せず状態。事が大きくなってお客様の声も大きくなり、ようやく店長あるいは副店長が応対に割って入る頃には時すでに遅しなのです。

   大きなトラブルに巻き込まれた新人たちのガラスのハートは、粉々に粉砕され、もう接客に入ることが恐怖以外の何ものでもなくなってしまうのです。ある者は翌日以降、接客が怖いと泣き出し、ある者は翌日以降、二度と出社することがなくなるなどということも。

   運よく大きなトラブルに遭うことなく生き延びた者や、トラブルにも動じない強い精神面を備えた者はごくわずか。大半の新人は1年以内に退職するということの繰り返したのです。

   そこで新人の受け入れ体制の改善で、まず手をつけたことは、自社の独自研修の開催です。業界の説明、起業の精神といったT社にまつわる基本的な話や、仕事や働くことの意味、会社組織とは何かといった会社人としての基本的な心構え、さらには業務に関する基本的な知識とこれから何をどのような姿勢で学び、どのようなT社社員をめざすべきかなどを、オリジナルの新人研修プログラムとして、私も手伝いしながら社内で考え、完成させました。

   この研修そのものは新人から大変好評だったのですが、思わぬ落とし穴が別のところに潜んでいました。

   それは、新人が研修でいろいろなことを教わり、基礎知識や基本動作を身につけて現場に出ても、肝心の迎え入れる側の先輩たちの基礎知識や基本動作がなっていない、ということでした。

   新人がせっかく身につけた知識や習慣も、先輩のそれができていないなら、「先輩は勉強してないじゃん」「先輩はやってないのか」ということになり、せっかく研修で教わったことが水泡に帰してしまうのです。

大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。近著に「できる人だけが知っている仕事のコツと法則51」(エレファントブックス)。連載執筆にあたり経営者から若手に至るまで、仕事の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
姉妹サイト