今年も早4月を迎え、1日からフレッシュな新入社員(新人)を迎えた企業も多いことと思います。
空前の売り手市場のなか、中堅・中小企業で迎える新人は、苦労に苦労を重ねて採用した、まさに「金の卵」ではないでしょうか。私がお手伝いをしている中堅接客小売チェーンT社でも、8人の高卒、高専卒のフレッシュな面々を迎えることとなり、3月の店長を集めた推進会議では、通常の業績進捗の議題に加えて「新入社員の受け入れについて」という議題の下、人事担当の総務部長から注意喚起が出されていました。
いきなりの繁忙日に「教育」する余裕なく......
T社はこれまでも毎年10年ほどにわたって、高卒を中心として数人規模の新卒採用を継続しています。採用開始当初は1年以内に大半の新人が退職してしまうなど、受け入れ態勢として由々しき状況にあったのですが、数年をかけて私も協力をして段階的にさまざまな施策を導入して新人受け入れ体制を整備。ここ2年ほどは、ようやく1年以内退職が特殊な事情を除いてゼロになりました。
「この状況を絶対に元に戻すな」との社長命令で、「新入社員の受け入れについて」という注意喚起が全店長宛に指示されるようになったのです。
約10年前、大半の新人が1年以内に退職してしまった頃の状況は、こうでした。入社後まず、商工会議所主催のビジネスマナーを学ぶ新社会人研修を2日間受講後、配属先での勤務がスタートします。
ちょうど春休みから新入学、新入社シーズンを経てゴールデンウィークまでは、T社の店頭は超繁忙期。したがって配属先での典型的な対応は、これといった教育的配慮を施す余裕もなく、先輩の応対を後ろで見て学び必要な手伝いをせよという指示があるのみ。じっと座って先輩の接客を眺めることと、繁忙であふれた補助作業の繰り返しが、ゴールデンウォーク明けまで続きます。
1か月ちょっともこんな毎日が続くと、その時点でだいぶモチベーションが下がり、ここでやめてしまう新人もチラホラ出始めてしまいます。
そして、繁忙期がひと段落するゴールデンウィーク明けには、いよいよ接客対応がスタート。確固たる教育もないまま、見よう見まねでの接客対応ですから、当然事務ミスも多く、ここで接客トラブルという大きな難関にぶち当たるわけなのです。