ちょっとした暇つぶしに、ゲームを楽しむ大人が増えている。市場調査の矢野経済研究所によると、2018年度の国内のスマホゲーム市場の規模(メーカー売上金額ベース)は、前年度と比べて3.0%増の1兆600億円を予測している。2019年3月26日の発表。
2017年度は前年度比8.9%増の1兆290億円と、大きく増加して1兆円を突破。最近は「ゲームは子供がするもの」という概念がなくなり、「脳トレ」や「気晴らし」に大人が積極的に取り入れており、市場拡大がさらに続いている。
国内外からクオリティの高いタイトル投入
矢野経済研究所は、国内のスマホゲーム市場を調査。その将来展望を明らかにした。それによると、スマホゲーム市場の規模は2014年度に8950億円、15年度が9250億円、16年度は9450億円と増加。17年度は、前年度比8.9%増の1兆290億円と、1兆円を突破した。
18年度の市場規模は、前年度比3.0%増の1兆600億円を予測。16年から本格的な市場参入を果たした任天堂による積極的な有力タイトルの展開や、これまでの日本国内での実績、中国や韓国などの海外メーカーによるクオリティの高いタイトルの継続投入が期待されるため、これからも安定的な成長が見込めそうだ。
既存の有力タイトルの収益が高止まり傾向にあるなか、「ファイヤーエムブレムヒーローズ」を筆頭に、「バンドリ! ガールズバンドパーティ!」、「A3(エースリー)」など、複数の新規タイトルも健闘したため、市場規模を全体的に押し上げる結果となった。
手軽な携帯ゲームは多くの人に受け入れられている。
ただ一方で、スマホゲーム市場はここ数年で急速に成熟しており、これまで以上に開発期間とコストをかけて新作タイトルをリリースしても、十分な人気を獲得できないケースが増えている。ヒット作を創出する難易度が高まっているようだ。
eスポーツへの登用でさらに活況
ここ数年、従来の課金システムを搭載しないゲームの大ヒットが続いている。なかでも、「ポケモンGO」はAR(拡張現実)機能と位置情報を組み合わせた斬新なもので、老若男女問わず人気が高い。あまりスマホゲームに馴染みがなかった層を中心に、社会現象になるほどのブームとなった。
一方、中国メーカーが2017年に国内へ投入したバトルロイヤルゲーム「荒野行動」は、数十人から100人程度でゲームフィールドをリアルタイムで共有し、時には一人で、時にはチームを組んで戦うという画期的なシステムを提供した。仲間とボイスチャットなどでコミュニケーションをとりながら目的を共有して遊べることが受け、市場拡大に貢献している。
また、2018年には家庭用ゲームやPCオンラインゲームのほか、スマホゲームでもeスポーツに参入するタイトルが登場し、注目を集めた。「パズル&ドラゴンズ」や「モンスターストライク」の2大ゲームを中心に、プロプレイヤーによる賞金制イベントが実施されるなど、プロスポーツを目指す取り組みもはじまった。
eスポーツへの登用はスマホゲームユーザーのさらなる拡大につながるとみられる。