素敵なバスガイドとの出会いが挑戦のきっかけ
松尾龍治さんも志望理由は同じだ。高校2年の修学旅行で長野県にスキーに行った時のバスガイドがとても魅力的だったので、その仕事に憧れたという。
「バスガイドさんの説明がとてもうまくて、修学旅行を楽しく過ごせました。高校は工業高校でほとんど男子ばかりなのに、はとバスから募集パンフレットがきていたので、『ひょっとして男でもいいのかな』と思いました。迷って先生に相談すると、『おもしろいじゃないか、やってみろ』と背中を押してくれました」
女性アイドルグループBerryz工房のヒット曲に「青春バスガイド」がある。『青春バスガイド キミはまぶしい 記念写真撮っていいかい? ひとめぼれなんだ 僕が弾けた......』。どうやら、多感な男子高校生にとって、素敵なバスガイドとの出会いが運命を左右するパワーを持つことがあるらしい。
松尾さんは、適性試験では渥美清の「男はつらいよ」を歌った。高校時代の部活は「ボランティア同好会」。松尾さんは「ゴミ拾いですよ」と謙そんするが、人のために尽くす気持ちが人一倍強いようだ。
研修では、先輩バスガイドの指導を受けながら、東京都内の名所旧跡の知識の勉強や、渋滞にあった時など、どんな場合でも間を持たすことができる「引き出し」の貯金などに励んでいる。4月22日に研修の「最終テスト」がある。1人でガイドをできるかどうかを見極める。合格すれば、1人で観光客を乗せて都内を案内する、デビューできる。
ちなみに、はとバスでは男性バスガイドとは逆のケースとして、この4月から女性バスガイドが運転手になる道も拓いた。すでに大型2種免許を取得済みで、4月1日から運転手の研修を受けている。峰岸さんは、
「バスガイドも運転手も、職種によって男女を分けることなく、同じように門戸を開いていきたいと考えています」
と語っている。
(福田和郎)