2019年5月1日の「改元」を前に、帝国データバンクが改元への影響を企業に聞いたところ、全体の4割以上の企業が「自社の企業活動に改元が影響する」と回答した。3月19日に発表した。
「改元に関する企業の意識調査」によると、企業は改元による「人々の気持ちの高揚」などプラスの影響を期待する一方で、10連休の影響として「営業日数の減少」などマイナスの影響面を危惧する向きもする姿も浮かび上がった。
消費拡大に期待も、改元対応は負担大きく
改元が企業活動にどう影響するかという質問では、「プラスの影響がある」が5.3%、「マイナスの影響がある」が12.8%、「プラス・マイナス両面の影響で差し引きゼロ」が25.5%だった。
何かしらの「影響がある」と答えた企業は計43.6%にのぼり、「影響がない」の38.9%を上回った。
「プラスの影響」として具体的な回答は、大型連休による個人消費の拡大、システム関連の改修など、改元特需を期待する声があった。
「マイナスの影響」では、営業日数の減少による業績への悪影響、改元によるコンピュータのシステム改修や事務書類の変更など通常業務とは異なる作業がコスト負担になると危惧する声も聞かれた。
システム対応、市場取引の休止...... 金融業界には「いい迷惑」か
業界別にみると、すべての業界において「影響はない」との回答が最も多かった。一方で、プラス・マイナスの影響に関してはそれぞれ回答にバラツキが見られた。
「プラスの影響」と答えた割合が最も高かったのは「サービス」(10.4%)で、次いで「小売」(8.6%)だった。
「マイナスの影響」と答えた割合が最も高かったのは金融(27.3%)で、「システム対応に余裕がない」、「長期休暇中、海外市場での取引ができない」などを案じる声があった。次いで高かった「運輸・倉庫」(20.5%)では、大型連休による輸送の集中を危惧する様子が伺えた。
業界別よりもっと具体的な業種別にみると、「プラスの影響がある」では「旅館・ホテル」(30.4%)が最も高く、次いで「出版・印刷」(27.8%)、「紙類・文具・書籍卸売」(20.2%)、「放送」(20%)などメディア関連の業種が上位を占めた。
「マイナスの影響がある」では「金融」と「電気通信」(各27.3%)が同率でトップだった。
連休による「営業日数の減少」は大きな懸念に?
改元の影響に関する具体的な理由(複数回答可)については、プラスの理由では「人々の気持ちの高揚」(13.5%)が最も高く、次いで休日の増加による「個人消費の拡大」(8.7%)、「設備改修業務や商品入れ替えの増加など」(7.9%)だった。
マイナスの理由では、休日の増加による「営業日数の減少」(24.5%)が最も高く、新元号関連の商品購入やシステム対応など「諸経費の増加」(14.6%)、業務量増加による「人手不足の深刻化」が(12.2%)が続いた。
なお、調査は帝国データバンクが全国2万3031社を対象に実施。有効回答企業は9701社で、回答率は42.1%。調査期間は2019年2月15~28日。