社長が抜いた宝刀「私のやり方に反対なら、会社を去れ」 して、その後は......(大関暁夫)

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50人ほどの社員が1年足らずで......

   この一斉メールに社内は騒然とし、焦ったH常務がなぜこんなことをしたのか、と社長を問いただすと、社長は涼しい顔でこう言ったのだそうです。

「辞めてもかまわないと思った社員の名前を挙げて最後通告して、他の社員に君たちもそうなりたくなければ危機感をもって働けとわからせたまで。だいたい、先代の恵まれた時代しか知らない君たちはぬるま湯に浸かった蛙なのだよ。このままでは徐々に周りの温度が上がってみな茹で蛙になってしまうから、冷水を浴びせたわけだ。私のやり方に反対するのなら、君も会社を去ってくれ」

   社長の考えていることは正しかったのかもしれませんが、やり方は明らかに間違っていました。

   H常務は当面の仕事を終えると、この3か月後に40年務めたT社を去りました。名指し指摘をされた社員数名はもれなく半年以内に転職しました。当然社内の雰囲気はますます悪くなりました。他の社員も次々退職。50人ほどいた社員は、1年足らずの間に半分ほどになり、仕事も激減しました。

   漏れ聞くところでは、今では10数人で細々仕事をこなしながら、実態は先代時代からの蓄えを食いつぶしているとのことです。

   社長が直接社員や特定部門を公に非難するということは、100%やってはいけないとまでは申し上げませんが、大きなリスクを伴うことだけは確かです。他の誰が言うのでなく、組織の総責任者である社長が個人を非難するということは、ある意味「天に唾する」ことでもあり、よほどの理由や覚悟がなければしてはいけないと思うところです。

   ノジマグループの今後には、一抹の不安を感じる次第です。(大関暁夫)

大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。近著に「できる人だけが知っている仕事のコツと法則51」(エレファントブックス)。連載執筆にあたり経営者から若手に至るまで、仕事の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
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