豊かになることを放棄した日本 低い失業率を低賃金で「演出」する愚(城繁幸)

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グローバル経済の中で、現状維持は後退

   ひょっとすると読者の中には、ここまで読んで「ちょっとくらい賃金が下がったって失業率が低いのならそれでもいいだろう」と思った人もいるかもしれない。

   もし、世界に日本しかない状態だったら、それでもよかったかもしれない。でも、世界には日本以外にも多くの国があり、より豊かになろうと日々しのぎを削っている。

   そんな中で、成長より「今雇っている人を雇い続けること」を最優先にする国は、現状維持にすら失敗するに違いない。

   皆が歩き続けているなか、一人だけ歩みを止めるようなものだからだ。

   失われた30年と言われつつ、奇妙なほどに安定した社会を日本は維持してきたものの、やはり失われたものは大きかったというのが筆者の見方だ。(城繁幸)

人事コンサルティング「Joe's Labo」代表。1973年生まれ。東京大学法学部卒業後、富士通入社。2004年独立。人事制度、採用等の各種雇用問題において、「若者の視点」を取り入れたユニークな意見を各種経済誌やメディアで発信し続けている。06年に出版した『若者はなぜ3年で辞めるのか?』は2、30代ビジネスパーソンの強い支持を受け、40万部を超えるベストセラーに。08年発売の続編『3年で辞めた若者はどこへ行ったのか-アウトサイダーの時代』も15万部を越えるヒット。ブログ:Joe's Labo
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