その恋愛感情がアブナイ! 好きにさせてダマす「デート商法」を動画体験

富士フイルムが開発した糖の吸収を抑えるサプリが500円+税で

   「お願い、私が好きならこのアクセサリー、買って!」。出会い系マッチングアプリやSNSをきっかけに、知り合った相手から数十万円の品物を買わされる「デート商法」の被害に遭う若者が急増している。

   3年後の2022年には民法が改正され、成人年齢が20歳から18歳に引き下げられる。成人になると、契約をする際、親の同意が必要なくなるため、18歳になったばかりの若者が狙われる危険が高まる。

   そこで国民生活センターは2019年3月、インターネットに恋愛シミュレーションゲーム風の動画を公開。「デート商法」の恐ろしさを10代~20代の若者に訴えている。

  • SNSで知り合った可愛いミチルちゃんだが…(国民生活センターのホームページより)
    SNSで知り合った可愛いミチルちゃんだが…(国民生活センターのホームページより)
  • 突然、豹変してアクセサリーを勧誘
    突然、豹変してアクセサリーを勧誘
  • SNSで知り合った可愛いミチルちゃんだが…(国民生活センターのホームページより)
  • 突然、豹変してアクセサリーを勧誘

男性は可愛い子、女性はイケメンにコロリ

   J-CASTニュース会社ウォッチ編集部の取材に応じた国民生活センター相談情報部の森澤槙子さんによると、デート商法の被害相談は最近急増しており、2018年度は今年(2019年)2月までに446件で、2017年度(同期)の374件に比べ、約20%増えた。森澤さんは、

「デート商法は、出会ったその日や、何回かデートを重ねて恋愛感情が芽生えた頃に、マンションなど自分の『職場』と称する場所に連れて行き、商品を買わせるのが手口です。買わせる商品はアクセサリー類や競馬の予想プログラム、儲け話の情報商材、中には数千万円の投資用マンションなどさまざまです。10代~20代の若者は、ギリギリおカネを出せる範囲の30~60万円くらいの商品が多いです。被害者は男性とは限らず女性も多く、半々ぐらいの割合です。デート相手は、男性には可愛い女の子、女性にはイケメン男が出てきます。特にアクセサリー類は自分も身に着けますから、女性の被害が多いですね」

   と説明する。

   この動画は「デート商法を恋愛ゲームで体験!キミならどうする!?」だ。

   ストーリーはこうだ。男子学生の「太郎くん」は、SNSで知り合ったばかりの女の子「ミチルちゃん」とデートをした。仲良くなったところで、ミチルは「こんなに気が合う人、太郎くんが初めて。好きになっちゃった」と太郎をマンションの1室にある自分の「職場」に案内した。そこでミチルがアクセサリーデザインの仕事をしていることが明かされる。ミチルは、自分がデザインしたというネックレスを見せて、「私のこと好きだったら買ってよ~」と頼むのだった。さあ、あなたならどうする?

キッパリ断り続け、すきを見て逃げるのが一番

   ここで動画は3つのケースに分かれる。

   ケース1は「ミチルちゃんのためなら買う」。ミチルが「これ80万円だけど、太郎くんは特別だから40万円でいいわ」というので、太郎は「いまお金ないけど買うよ」と返事をした。「まあ、うれしい! 売買契約書持ってくるね」。太郎は家に帰り、サインした契約書を机の上に置くと寝てしまった。母親が契約書を見て驚いた。「これ、何よ!」。厳しく太郎を叱ったが、後の祭り。母親は電話で契約の破棄を申し出たが、応じてもらえなかった。

   ケース2は「お金がないのでと断る」。太郎が断ると、ミチルは「大丈夫、借りればいのよ。私が連れて行ってあげる」とサラ金に案内した。太郎は躊躇したが、ミチルの笑顔と強引さに押し切られ、サラ金から借りた40万円で買ってしまった。ネックレスを見ながら、太郎は「これ、キャンセルできないかな」と悶々とした日々を送っている。

   ケース3は「いらない、とキッパリ断る」。太郎がそういうと、ミチルは「え~、買ってくれないの? ええ~ん!」と大声で泣いた。それを聞きつけ、ミチルの上司という怖そうな男が現れた。「おう! ミチルを泣かせて、どう責任をとるんじゃ!」とすごんだ。何時間も脅しが続いたが、太郎は拒否した。「そうか、わかった。出口はそっちじゃ」。上司はあきらめて太郎を解放した。

   結局、無事に済んだのはケース3の「キッパリ断る」だけだが、それでも解放されるまでに数時間もかかる。森澤さんは、こう語る。

「相手が、途中で商品の勧誘が始まりデート商法だと気づいたら、絶対におカネを払ってはいけません。頑として拒否し続けることです。相手はあの手この手でしつこく買わせようとします。何時間も粘って脅しやすかしが続きますから、根負けをして、『あとで解約すればいいや』と契約したら、もう終わりです。解約するのは非常に難しいです」

   では、どうしたらよいのか。森澤さんは、

「マンションの1室などに連れ込まれて勧誘が始まったら、これはデート商法だなと、すぐに飛び出して逃げるのが一番です。『いったん家に帰って考えさせてくれ』と言うのもいいかもしれません」

   と、アドバイスする。

   そもそも、マンションのような「密室」に案内される段階で、妙な気を起こさずに、「怪しい!」と気づくべきだろう。

   なお、今年6月に消費者契約法が改正されて、デート商法のような「恋愛感情に付けこむ契約」が、認知症商法の「加齢による判断力の低下に付けこむ契約」などと同様に契約の取消条件に加えられることになった。(福田和郎)

姉妹サイト