キッパリ断り続け、すきを見て逃げるのが一番
ここで動画は3つのケースに分かれる。
ケース1は「ミチルちゃんのためなら買う」。ミチルが「これ80万円だけど、太郎くんは特別だから40万円でいいわ」というので、太郎は「いまお金ないけど買うよ」と返事をした。「まあ、うれしい! 売買契約書持ってくるね」。太郎は家に帰り、サインした契約書を机の上に置くと寝てしまった。母親が契約書を見て驚いた。「これ、何よ!」。厳しく太郎を叱ったが、後の祭り。母親は電話で契約の破棄を申し出たが、応じてもらえなかった。
ケース2は「お金がないのでと断る」。太郎が断ると、ミチルは「大丈夫、借りればいのよ。私が連れて行ってあげる」とサラ金に案内した。太郎は躊躇したが、ミチルの笑顔と強引さに押し切られ、サラ金から借りた40万円で買ってしまった。ネックレスを見ながら、太郎は「これ、キャンセルできないかな」と悶々とした日々を送っている。
ケース3は「いらない、とキッパリ断る」。太郎がそういうと、ミチルは「え~、買ってくれないの? ええ~ん!」と大声で泣いた。それを聞きつけ、ミチルの上司という怖そうな男が現れた。「おう! ミチルを泣かせて、どう責任をとるんじゃ!」とすごんだ。何時間も脅しが続いたが、太郎は拒否した。「そうか、わかった。出口はそっちじゃ」。上司はあきらめて太郎を解放した。
結局、無事に済んだのはケース3の「キッパリ断る」だけだが、それでも解放されるまでに数時間もかかる。森澤さんは、こう語る。
「相手が、途中で商品の勧誘が始まりデート商法だと気づいたら、絶対におカネを払ってはいけません。頑として拒否し続けることです。相手はあの手この手でしつこく買わせようとします。何時間も粘って脅しやすかしが続きますから、根負けをして、『あとで解約すればいいや』と契約したら、もう終わりです。解約するのは非常に難しいです」
では、どうしたらよいのか。森澤さんは、
「マンションの1室などに連れ込まれて勧誘が始まったら、これはデート商法だなと、すぐに飛び出して逃げるのが一番です。『いったん家に帰って考えさせてくれ』と言うのもいいかもしれません」
と、アドバイスする。
そもそも、マンションのような「密室」に案内される段階で、妙な気を起こさずに、「怪しい!」と気づくべきだろう。
なお、今年6月に消費者契約法が改正されて、デート商法のような「恋愛感情に付けこむ契約」が、認知症商法の「加齢による判断力の低下に付けこむ契約」などと同様に契約の取消条件に加えられることになった。(福田和郎)