iPhoneが日本で流行ったワケ それは「ちょいバカ戦略」の成功だった(気になるビジネス本)

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高級トースターも「低い意識」を満たしてヒット

   「ちょいバカ戦略 意識低い系マーケティングのすすめ」の著者、小口覺さんは「ITや家電を中心にモノとビジネスのあり方をウォッチし続けてきた」ライター。トレンド雑誌やウェブメディアなどを活動の場にしており「ドヤ家電(自慢したくなる家電)」の名付け親としても知られる。

   さまざまなモノやサービスのヒットや空振りの成り行きを見守ってきて、ヒットした商品、成功した企業に共通するのは「ちょっと見はおバカでもその実したたか」に組まれた戦略があったことに気が付いた。それをまとめた。

   時代が昭和から平成に変わって、消費に意識の高さが持ち込まれ、「本物志向」とか「差別化」をキーワードに製品やサービスの売り込み、プロモーションがなされるようになったものの、それだけではヒットに結び付けることは難しい。

   現代では新興のプロダクトメーカーが、上流生活を演出する家さまざま家電製品を次々、市場に送り出している。そのうちの一つ、バルミューダ社は、ちょっと前までは「デザインやイノベーティブな機能を重視した製品」を展開していたが、2万円以上もする高級トースターで一躍有名になった。

   2000~3000円も出せば買える別メーカーのそれなりの製品が買えるのだから、その10倍もの金額で売れるワケがないと言われたが、堂々のヒット商品となり「トースター革命」ともいわれ、高級トースターをトレンドに押し上げた。

   雨中のバーベキューで焼いたトーストの仕上がりがヒントになり、スチーム機能などを備えて製品化した。

   著者は、同社がウリにしていたデザインなどに加えて「『おいしさ』というすべての人にある欲望、低い意識を満たすことでヒットした」と説明する

   ほかにも、現代のアイドル商法や「かわいい」商法、また「キティちゃんの仕事を選ばない戦略」など、意識低い系の心を動かす商法を解説。また、メルセデス・ベンツが購買層を若い世代にまで拡大できた、意識低い系のマーケティング戦略にも言及するなど、その内容は身近な分だけ興味深い。

「ちょいバカ戦略 ―意識低い系マーケティングのすすめ― 」
小口覺著
税別740円

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