激化する米中貿易摩擦、2019年10月に予定される消費増税などを受け、日本経済の雲行きは怪しくなっていきそうだ。
帝国データバンクが各業界・分野の業況の変化を天気で表す「『業界天気図』動向調査」を3月8日に発表。2019年度に天気の「悪化」が見込まれる分野は「家電製造」、「ファストフード・カフェ」など12分野にのぼり、「改善」が見込まれる分野の数を3年ぶりに上回った。
「悪化」が「改善」を上回る
業界天気図は、企業実績や各種統計データなどをもとに、各業界・分野の業況展望を「快晴」「晴れ」「薄日」「曇り」「小雨」「雨」「雷雨」の7段階に分類した。
2019年度の天気予測では「曇り」が最多の69分野を占め、快晴、晴れ、薄日を合わせた「晴天」は前年度から4分野減って86分野となった。
2018年度から、19年度に天気の「改善」が見込まれるのは8分野で、集計比較が可能な1999年度以降最少となった。一方で、「悪化」が予測されるのは12分野で、3年ぶりに「改善」の数を上回った。
ファストフードは「悪化」も居酒屋は「改善」 外食業界で明暗
主要50分野のうち、「快晴」となったのは「ホテル・旅館」。インバウンドの好調でホテル需要が高まり、2019年度も新規開業が続く見込みだ。
天気の改善が見込まれる分野は、企業のICT投資が堅調な「インターネットサービス」(曇り→薄日)、改元や消費増税によるソフトウェア特需が期待される「ソフトウェア開発」(薄日→晴れ)、豪華列車の運行や有料座席サービスの導入が進む「鉄道」(曇り→薄日)、ラグビーW杯と五輪の開催でスポーツ関連広告の増加が見込まれる「広告代理店」(薄日→晴れ)などがあがった。
一方、「出版社・出版取次」は2年連続の「雷雨」に。紙媒体の不振は収まる気配を見せず、さらなる雑誌の休刊や企業の倒産・廃業の可能性が指摘された。
18年度から天気の「悪化」が見込まれる分野は、消費増税や米中貿易摩擦の影響が大きい「工作機械製造」(晴れ→薄日)、好調だったエアコン販売の反動減が見込まれる「家電製造/家電小売」(薄日→曇り)、低金利下で需要が伸び悩む「リース」(薄日→曇り)などだった。
ただ外食業界は、「ファストフード・カフェ」(薄日→曇り)が原材料費や人件費の高騰で悪化予測となった一方で、「居酒屋、ビアレストラン」(雷雨→雨)は景気回復を背景に客単価が増加傾向にあるとして「改善」予測。業界内で明暗が分かれた。
なお、調査は2018年度の実績値と2019年度の予測値で、いずれも100業界198分野の動向をまとめた。