東日本大震災から8年。その後も長野、熊本、大阪、北海道と頻発した大地震。さらには広島や岡山、愛媛を襲った西日本豪雨と、自然災害が後を絶たない。
災害時の家族や親しい友人の安否確認や連絡はもちろん、さまざまな情報の入手に使われるスマートフォン。日ごろから交通機関の利用や買い物代金の支払い、スケジュールや健康の管理、エンタテインメントと、手放せなくなっている一方で、気になるのが充電量だ。災害時も、スマホを充電できるコンセントを探している人であふれた。
そんな充電不足の「お悩み」を解消しようと、飲料メーカー大手のダイドードリンコが、自動販売機を活用して無償の充電サービス「レンタル充電器」の実証実験に乗り出している。
急なバッテリー切れに、自販機で手軽に充電
ダイドードリンコが、自動販売機の電力を活用してスマホやタブレットなどを充電できる環境を無償で提供する「レンタル充電器」の実証実験を、2019年2月8日に開始した。神田明神や青山学院大学などの東京都内の最大10か所に、充電機能付きの自販機を設置。外国人観光客が多い観光地や学生の利用頻度が高いロケーションを優先して展開している。
「レンタル充電器」は、スマホの急なバッテリー切れなどの際に、手軽に充電できる環境を提供する取り組みで、緊急時の電話連絡や写真撮影が必要な人などをサポート。自販機の提供できる新たな価値を創出していく。
自販機にUSBケーブルの差し込み口を用意。手持ちのケーブルを差し込んでスマホをつなげれば、充電できる。5分間をメドに充電し、完了後ケーブルを取り外す。SNSを利用している場合は「#dydocharge」に利用した感想を投稿してほしいという。投稿内容から活用状況を把握し、今後の改善に役立ていく。
ダイドードリンコでは、自販機を通じて飲料購入する以外の「新たな価値を提供したい」との思いから、2015年には急な雨のときに雨傘を無償で貸し出す「レンタルアンブレラ」を、2016年にはスマホを介して顧客と自販機を繋ぐサービス「Smile STAND」を展開してきた。今回の実証実験について、広報担当者は、「自販機の社会インフラとしての可能性を示す取り組みの一つとして展開しました。すでにネット記事などが話題となり、SNSを通じて、期待の声や、要望や質問など多くのご意見をいただいています。今後は、一人でも多くの方にご利用いただき、利用者の声を集めたいと考えています」と話す。
すでに、利用者からは、「これは便利。充電がピンチの時に助かる」「エリアを拡大して誰でも使えるにしてほしい」といった声が寄せられている。
災害時は些細なことが不安になりがち。同社の自販機は全国に約28万台が設置されている。その多くに「レンタル充電器」が装備されれば、少しは「つながらない」不安が解消されるはずだ。