現在、就職活動真っ盛りの2020年春に卒業予定の学生を対象にした「就職人気企業ランキング」調査が、「どこよりも早く」まとまった。
朝日新聞とともにコンテンツを提供する就職情報サイト「あさがくナビ」(朝日学情ナビ)などを運営する「学情」が2019年3月18日に発表。その調査結果を見ると、商社と自治体の躍進が目立つ。
東京、大阪、京都、福岡...... 自治体が軒並みランクアップ
調査は、2018年12月1日~2019年3月7日の間に、2020年3月卒業予定の大学3年生、大学院1年生9482名を対象にアンケートを行ない、ベスト100位を発表した=図表1、2参照。
伊藤忠商事が6年ぶりに1位となり、2位に味の素、3位JTBグループなどと続く。伊藤忠は、残業防止のために朝早く出社するとインセンティブを与えるなど、朝型勤務などの働き方改革を積極的に取り組んでいる企業という印象が学生にウケたようだ。テレビCM・新聞広告などの広報戦略が功を奏した。
業界ごとでも明暗が分かれた。1位の伊藤忠を筆頭に総合商社の人気が高く、丸紅、三菱商事、住友商事、三井物産、双日、豊田通商の7大商社がそろって順位を上げた。また、食品業界は理系を中心に依然として人気が高く、2位の味の素を筆頭にトップ100の中に20社が入った。
一方、前年まで4年連続1位だったANA(全日本空輸)は5位にランクダウン。これは、JAL(日本航空、19年19位、18年3位)とともに、乗務員の飲酒問題などのイメージダウンが影響したと思われる。リストラが進んでいる金融業界も、三菱UFJ銀行の47位(18年41位)をはじめ、軒並み順位を落としている。
これに対して、地方自治体の躍進が目立つのが今年の特徴だ。東京都(41位)、大阪府(80位)、京都府(88位)、福岡県(94位)をベスト100位に4自治体が入った。200位までを見ると、埼玉県(152位)、愛知県(154位)、神奈川県(190位)と大きな自治体が軒並み大きく順位を上げた。
これは、働き方を重視する学生の安定志向に加え、民間企業のスケジュールが事実上早まったため、公務員試験との併願がしやすくなり、人気票を集めたとみられる。