「人生100年」と言われる今、「定年後、給与が下がっても働きたい」と答えた人は全体の7割にのぼった。日本ファイナンシャルアカデミーが「定年後に関する意識」を調査。2019年3月5日に発表した。
年金受給年齢のさらなる引き上げが話題になるなど、経済的な不安感からか、「定年後も働く必要がある」と考える人は多いようだ。
現役時代は「目の前の仕事で精一杯」
調査によると、「定年後、給与が下がっても働きたい」人は全体の7割で、その理由には「老後資金のため」や「生きがいだから」「社会とのつながりを持ちたい」という声が上位にあげられた。
「必要に迫られて」働くのとは別に、「生きるうえでのモチベーションを維持するため」に働こうとする気持ちが見受けられる。
また、定年後の「お金」の対策について聞いたところ、「十分できている」と答えた人は全体のわずか3%にとどまった。
「まったくできていない」「あまりできていない」と答えた人は合わせて60%と半数以上を占めた。「なぜ、準備できていないのか」聞いたところ、「目の前の仕事で精一杯だから」という声が最も多かった。現役のうちは日頃の仕事が忙しく、定年後のことまで考える余裕がないようだ。
定年後のキャリア対策、やるなら「今から」
「キャリア」対策について、「十分にできている」人は全体のわずか1%。「まあできている」と答えた人は27%だった。
「どのような対策をとっているか」聞いたところ、「現在持っているスキルを上げる」や「情報収集」が多かった。定年後にやりたいことを明確にしたうえで、「資格取得」や「学校で専門的な知識を学ぶ」「習い事」など、具体的な行動に移している人は、まだ少数派だった。
今回の調査では、低金利政策の継続や年金制度の崩壊、住宅ローンや子供の学費など金銭面での課題は大きく、老後資金を楽観視できないという人が多数派であることがわかった。
ただ、「定年後も働きたい」と考える人が多いにもかかわらず、そのための準備をしている人はごくわずかで、働く意欲はあってもまだ行動はしていないという、「大きなギャップ」があることもわかった。
新社会人が学校教育を通して社会に出るための準備をするように、これからは定年後という新しい社会に出るための準備が、現役ミドル世代には必要になるようだ。
定年後のキャリア形成に向けた学びや対策は、「そのうち」ではなく「今から」はじめられるかどうかが、その後の人生の分かれ目となるかもしれない。