ええっ、ドローンが残業防止!? 夜のオフィス「パトロール飛行」を体験取材してみた

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大きな物流倉庫や工場、結婚式場でも使えるか?

   「T-FREND」は1.5メートルの高さをキープしながらオフィス内を飛行したが、社員の机の上を飛んだりしない。床の歩行ルートの上だけを飛ぶ。万が一、仕事中の人間の上に落ちたら事故につながりかねないからだ。数分後、巡回を終えると、ポートに見事に着陸した。

   開発では、大成が企画とサービスを考え、「ブルーイノベーション」がGPSを使わない屋内の自律飛行システムを提供、NTT東日本がインターネットを使わずに大量のデータをクラウドに送信するネットワーク基盤を提供した。現在、自律飛行するドローンはほとんどがGPSを使用しているため、人工衛星の電波が届きにくい屋内飛行を実現したのは業界初だという。また、インターネットを使わないため、ハッキングなどによってデータを盗まれる心配がない。

   そもそもどうしてオフィス内にドローンを飛ばして、残業を減らすアイデアを思いついたのか。加藤専務はこう語った。

「本業のビルメンテナンスで、人手不足によって夜のオフィスを巡回する警備員が集まらなくなったからです。そこで、ドローンに巡回させるシステムの開発を進めているうちに、働き方改革が話題になるようになりました。ある記者から『残業をしている人の偵察に使えるのでは』と言われ、なるほど!と閃いたわけです。もちろん、カメラを踏査しているので不審者を発見でき、警備にも使えますが、残業の抑制効果のほうが現在のトレンドですからね」

   警備と残業抑制との一石二鳥というわけだ。

   2018年10月からサービス開始のアピールを始めた。利用料金は1年契約で40万円。警備員を確保するより確かにコストはかからないが、これまで40社ほど問い合わせが来ているものの、契約にこぎつけたところは出ていない。しかし、問い合わせの過程で、「屋内初の自律飛行ドローン」ということで思わぬ副産物の使いみちのアイデアが次々と出てきた。加藤専務が語る。

「たとえば物流倉庫内の検査です。山積みされている上の棚は確かめるのが難しい。品物のバーコードを、ドローンのカメラで読み取って点検する。大きな工場では生産ラインの工程で部品交換する時にドローンで補充することができるし、書類の配達もできます。地下の危険な機械室の検査にも活躍できる。また、結婚式場で上からの動画を撮影するというアイデアもいただきました」

(福田和郎)

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