「会社はゲーム、新入社員はレベル1だ」古市憲寿さんが説く処世術(気になるビジネス本)

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目標に対して、どのルートで行くか

   エッセイストの岸本葉子さんは、大学卒業後に生命保険会社に就職した経験を持つ。そこでわかったことは「社会が不合理なこと、非効率的なことをひっくるめ、さまざまな雑事でなりたっている」ということ。そのなかをくぐりぬけこそ幹部候補生になれるそうだが、岸本さんは「2年ちょっとしか続かず、完全に落ちこぼれ」に。しかし、その2年間は「頭でっかちの自分を修正するターニングポイントになった」と、振り返る。

   「グローバル化の渦の中で、日本の新入社員も積極的に自分の人生を考えなければいけない」というのは、ハンガリー出身の数学者で大道芸人のピーター・フランクルさん。「会社のために最大限に尽くすけれど、その中で自分も伸びるように努力する」という「伸私奉仕」の勧めを説き、「そうした努力が報われないと感じたときは『転職時期がやってきた』と思うべき」とアドバイス。

   元ラグビー日本代表で、9月に日本で開かれるラグビー・ワールドカップ2019大会のアンバサダーを務める大畑大介さんは、「私は以前、希望しないポジションを指示されたことがあるが、やってみたら異なる角度からの景色をみることができた。それまでと違う視点がうまれた。自分自身が思ってもいない、望まない経験をしたことは、振り返ってみると、とてもプラスになっている」という。

   とっさの判断が必要とされるラグビー。大畑さんは「人間はみな、それぞれが違うように、目標も、そこへ到達するルートも異なる。いま置かれている状況だけがすべてではない。自分の目標に対してどのルートで行くのかを考え、たどり着かなかったら別の道を探せばいい」とも。

   編集者、評論家の山田五郎さんは「一中間管理職として新入社員と接してきた経験」から「すぐに辞めてしまう人のほとんどは、じつは自分が何をやりたいのかもわかっていない」と指摘している。

   「石の上にも3年というが、今は世の中のスピードが早くなっているから、1年でいい。他の可能性は考えず、自分にはいまの仕事しかないと思い込んで、全力で取り組んでみてほしい。1年後には、仕事というものに対する考え方自体が、驚くほど変わっているだろう」と、アドバイスする。

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