貯蓄について、多くの人がリタイアまでに5000万円ほどほしいと考えている一方で、いまの貯蓄額が50万円以下という人たちがほぼ半数だったことが、三井住友フィナンシャルグループのSMBCコンシューマーファイナンスの「30代・40代の金銭感覚についての意識調査」(2019年版)でわかった。2019年3月6日の発表。
働き方改革の影響で、消費の新潮流が生まれた。調査によると、働き方改革で就業時間が短くなり「フラリーマン」が増加。消費の機会が増えて、貯蓄に回らなくなったらしい。
リタイアまでには5000万円超貯めたい
SMBCコンシューマーファイナンスでは、「30代・40代の金銭感覚についての意識調査」を2017年から3年連続(「20代」は2014年から)で実施している。
30代、40代は労働力の主力だが、年金受給などを含め、しばしば将来の生活について不安を指摘される。調査では、仕事をリタイアする年齢までに、どのくらいの貯蓄があれば安心だと思えるかを聞いたところ、「500万円超~1000万円以下」が18.1%で最多。しかし、他の金額帯との差はあまりなく、「3000万円超~5000万円以下」(16.8%)や「2000万円超~3000万円以下」(15.4%)、「5000万円超~1億円以下」(15.4%)と割れた格好。平均額は 5214万円だった。老後生活を安定的に過ごすためには妥当なところか。
ところが、貯蓄額を聞いたところ、23.1%が「0 万円(貯蓄ができていない)」をチェック。「1万円~50万円以下」が24.6%で、ほぼ半数の人が貯蓄額50万円以下という結果になった。2018年の調査では、「貯蓄なし」は17.1%。景気回復で賃金上昇が伝えられたが、どうやらその分は貯蓄に回らなかったようだ。同社では「貯蓄に充てる分のお金を消費に回したという人が増えたのではないか」とみる。
働き方改革で「消費の新潮流」
今回の調査では「消費」をめぐってもさまざま質問しているが、30代、40代はむしろ20代と比べてつつましい傾向。「多少無理しても、いいモノにお金をかけたいか」という問いに、「そう思う」と答えたのは30代で48.0%、40代が45.4%と、ともに5割以下。これに対して20代を対象にした調査(18年版)では、56.4%が「そう思う」をチェックしていた。
また「無理をせず、買える範囲で良いものを選びたい」には、30 代が87.8%、40 代は89.0%と、ともに9割近くが同意を示している。20代は86.3%だった。
調査が「30代・40代の消費の新潮流」として指摘しているのが、アフター5の充実だ。働き方改革で就業時間が短くなり、30代・40代のビジネスパーソンの半数以上が退社後、いわゆる「フラリーマン」となって消費を楽しんでいることが分かった。
回答者のうち「有職者」は772人。この人たちに「仕事が終わったあとすぐ帰宅せず、ブラブラ寄り道しながら帰ることがあるか」と聞いたところ、49.7%と半数近くが「ある」と回答。男女別では、男性 54.1%、女性 43.7%が「フラリーマン」だった。
このフラリーマンの男性(242人)に、寄り道でひと月に使っている金額を聞いたところ、「5000 円~1万円未満」(16.5%)や「1万円~2万円未満」(16.9%)などの回答が多く、平均額は1万1460円。寄り道先は、1位がコンビニ(59.9%)、2位は本屋(31.8%)で、3位は居酒屋・バー(19.4)だった。
家事負担が女性に過度に集中
調査では、配偶者がいる回答者(496人)に「家事(または家事・育児)の負担が自分に過度に集中しているか」を聞いているが、「そう思う」割合は、女性で 76.0%と、男性の21.4%と比べて50ポイント超のオーバー。「多くの妻が『ワンオペ』で家事や育児をしなければならない状態に置かれている」もので、夫の「フラリーマン」自粛が問題の解決に貢献する可能性があるとみられる。
ワンオペ状況に置かれている妻は、家事や育児の負担を軽減しようと、弁当・惣菜の購入や、家事代行サービスや一時保育などの利用頻度が増すことが考えられる。家事負担が自分に集中していると回答した妻(221人)のうち、66.1%が負担を軽くするため、これらに出費している旨を回答。ひと月あたりの平均額は 6441 円だった。
なお調査は2019年1月7日から3日間、インターネットを通じて実施。全国にいる調査会社のリサーチモニターから回答を求め、男女と30、40代の年齢構成が均等になるよう抽出した1000サンプルを有効回答とした。