2019年2月末、トランプ米大統領が米中協議について期限を延長し、関税の引き上げの決定を先送り。投資家心理は改善され、日経平均株価は2万1500円を上回った。ただし、3月中に行われる予定の米中首脳会談で最終合意に達するまでは予断を許さない。
そうしたなか、今回は2月に話題になったレオパレス21について分析。同社は2月7日に公表した界壁施工の不備問題によって、株価が大きく下がった。ただ、調べてみるとその事業モデルは素晴らしく、興味深いものであることがわかった。レオパレス21を深堀りしてみた。
大都市、法人利用の多さ、充実したサービス
【レオパレス21(8848)】
年初来高値(2018年5月11日) 1023円
年初来安値(2019年2月18日) 199円
2019年2月28日終値 241円
レオパレス21は、今から45年前の1973年8月に設立された。事業の柱は賃貸事業で、オーナーの土地にアパートを建築。建てたアパートをオーナーから一括で借り上げ、入居者に貸し出すビジネスを展開している。
同社の同業他社に対する競争優位性は、「法人利用が多い」「大都市圏への物件集中」「サービスの充実」の3点。法人利用は、全国上場企業の約80%が同社を利用していて、法人契約戸数のシェアは過半数を超える57.8%となっている。
大都市に物件供給が集中しているのは、少子高齢化に伴う人口減少と大都市への人口集中に対応したもの。賃貸需要が高い人口の多い地域、さらに単身世帯の人口流入が見られる地域を中心にアパートを供給することで、安定した収益を上げている。
続いて、強みとなるのが充実したサービスだ。まず「my DIY」は、入居の際に壁紙一面を無料で選べるサービスで、100種類の壁紙からえらべる。
また、インターネットサービスの機能を拡大したSTBデバイス「Life Stick」を物件に順次導入するとともに、新築物件にはスマートロックを標準装備して、物件のIoT化を進めている。
株主還元に熱心
その一方で、レオパレス21は民泊事業も手掛けている。「楽天LIFULL STAY」の運営代行により、大田区の保有アパートで民泊の運営を開始している。さらに2018年12月からは福岡県で3棟の物件を自社のみで経営している。訪日外国人の増加でニーズが上昇していることを受け、保有するアパートでの民泊事業を含め、空き家や築年数が古い物件への有効利用策として、対象物件の拡大を図っている。
業績をみると、界壁施工の不備問題によって来期(2020年3月期)の業績が不調になるのは避けられない。ただ、2018年3月期までは売上高や現預金、有利子負債などの推移が順調であったことを考えると、業績回復には、いかに界壁施工の不備問題の解決のメドが早く立つかが重要になってくるだろう。
さらに株主還元について調べると、レオパレス21の配当は1株当たり年間22円、配当性向37.9%、総還元性向は92.3%となっている。総還元性向の92.3%は市場全体をみても、とても高い数字で、株主還元に熱心な企業であることがわかる。
レオパレス21を分析して、ビジネスモデルには問題のない事業を行っていることがわかった。ただし、今回はストップ安が続く状況も収まり、株価も200円台で上下しているものの、悪材料が出尽くしているかまだわからず、さらなる株価下落の可能性が払しょくできない。そのため、「買い」は見合わせた。
2019年2月25日(月)の終値は、216円だった。
【株式取引ルール】
・月200万円を上限に最低1銘柄(企業)を選ぶ、バーチャル投資です。
・投資対象は、新興市場を含む上場企業の現物取引です。
・1年間のトータルで損益を競います。