世界的な景気後退への懸念が高まってきた。内閣府が2019年3月7日に発表した1月の景気動向指数(速報値)で、景気の基調判断を下方修正した。経済開発協力機構(OECD)は世界経済の減速見通しを、なかでもユーロ圏の減速に懸念を示した。それだけに、米国や中国で今週発表される経済指標に注目が集まる。
どうなる? 今週の株式・為替マーケット!
東京株式市場 米国の小売り売上高に注目
日経平均株価予想レンジ:2万500円~2万1000円
2019年3月8日(金)終値 2万1025円56銭
今週の日経平均株価は、下値を確認する動きとなりそうだ。2万円に近づく可能性もある。
前週の日経平均株価は3月5日から4日続落して、一時は2万1000円を割り込んだ。6日にOECD(経済協力開発機構)が世界経済の成長率見通しを下方修正。7日にはECB(欧州中央銀行)がユーロ圏の2019年の経済成長率の見通しを引き下げるなど、世界的な景気減速懸念が台頭した。加えて、米国の景気減速が払拭されていないことが海外株安の要因となっている。
今週の日経平均株価は、8日に発表された2月の米国雇用統計で非農業部門雇用者数が市場予想を大幅に下回ったことから、週初めは下値を確認する動きが予想される。ただ、米国の雇用統計では、平均時給の上昇率は市場予想を上回っており、また米中貿易協議が合意に向けて進展していることから、日経平均株価は悪材料を織り込んだ後は、反発する地合いとなりそうだ。
注目は、11日に発表される1月の米国の小売り売上高。12月の小売り売上高が市場予想を大きく下回り、米国の景気減速懸念につながっただけに、1月の小売り売上高の結果にも注意が必要だ。
スケジュール面では、国内の12日の1~3月期法人企業景気予測調査、14、15日に開かれる日本銀行の金融政策決定会合、15日の日銀の黒田東彦総裁会見。米国では、11日の1月の小売り売上高、12日の2月の消費者物価、13日の1月の新築住宅販売件数などが発表される。
東京外国為替市場 ドルの上値重く、1ドル=110円後半の流れ
ドル・円予想レンジ:1ドル=110円00銭~112円50銭
2019年3月8日(金)終値 1ドル=111円15銭
今週の外国為替市場は、ドル円相場ではドルの上値が重い展開が予想される。
前週のドル円相場は一時、1ドル=110円台へと円高が進んだ。OECD(経済協力開発機構)の世界経済の成長率見通しを下方修正。ECB(欧州中央銀行)のユーロ圏の2019年の経済成長率の見通しを引き下げや、12月の米国の貿易収支が予想を上回る大幅な赤字となったことで、リスク回避のドル売り・円買いとなった。
今週のドル円相場は、8日の米ニューヨーク外国為替市場で、2月の米雇用統計で非農業部門雇用者数が市場予想を大幅に下回ったことを受けて、1ドル=110円後半までドル安・円高が進んだ地合いを引き継ぎ、ドルの上値が重くなりそうだ。
今週発表される米国の1月の小売り売上高、2月の消費者物価、1月の新築住宅販売件数などの米経済指標が市場予想を下回るようだと、米国景気の減速が意識されて追加利上げの観測はさらに後退し、ドル買いは抑制されることになる。
11日の米国の1月小売り売上高、12日の2月の米消費者物価、13日の1月の米新築住宅販売件数など米国の経済指標に加え、14日の2月の中国の鉱工業生産、2月の中国小売り売上高、2月の中国の都市部固定資産投資など、中国の経済指標にも注目してみたい。
(鷲尾香一)