政治家は世に平和をもたらすのが使命だ
こうした類の話はまだまだある。もちろん、ノーベル平和賞に値した政治家もいる。しかし、大統領や首相などといった政治家は本来、世に平和をもたらすのが使命であり、仕事のはずである。それがうまくいったからといって、ノーベル平和賞まで差し上げる必要があるのだろうか。
昨年(2018年)のノーベル平和賞は、コンゴ民主共和国の婦人科医のデニ・ムクウェゲさんと、過激派組織による性暴力の被害者で、被害者の救済を訴えるイラクのナディア・ムラド・バセ・タハさんが受賞。紛争下の性暴力根絶に向けた尽力が評価された。
ノーベル平和賞は原則として政治家に与えることをやめ、こうした普通の人たち、言い換えれば、草の根の運動家――古くは1964年のキング牧師(マーティン・ルーサー・キング)や1979年のマザー・テレサ、1999年の「国境なき医師団」といった人たちを対象にすべきではないだろうか。(岩城元)