「アベノミクスは幻だった!」 「景気後退入り?」発表を新聞各紙はどう報じたか

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唯一1面で取り上げなかった「日経」のスタンス

   6紙の中でただ1社、1面に取り上げなかった日本経済新聞は、見出しに「景気後退」という言葉を一切使っていない点でも唯一の存在だ。ほかの5紙はすべて「景気すでに後退(局面)か」(朝日、読売、東京、産経)、「景気後退局面の可能性」(毎日)などと使っているのだが......。記事の主見出しは「景気指数3か月連続低下 基調判断を下方修正」で、何が問題になっているのかよくわからない書き方だ。

   そして、記事の内容も茂木敏充経済財政・再生相の記者会見での「過去にも下方修正されても(事後に)後退局面とされなかった事例がある」というコメントを計29行(菅義偉官房長官は12行)も引用しており、全体的に政府側の「景気回復基調は変わらない」というトーンでまとめられている。

   毎日新聞も、「『戦後最長の景気拡大』に疑問符が付いた格好だ」として、

「それでも政府は(今年1月に発表した)『戦後最長を更新したとみられる』との認識を崩していない」

と述べている。そして最後に第一生命経済研究所の新家義貴氏の

「輸出や生産の減少分を2月に取り戻せるかが焦点。取り戻せなければ『戦後最長景気』でなかったと判断される可能性もある」

というコメントで結んでいる。

   しかし、不思議なのは、この第一生命経済研究所の新家義貴主席エコノミストが、朝日新聞、読売新聞、毎日新聞、日本経済新聞の4紙に登場していることだ。朝日新聞、読売新聞、毎日新聞では「景気状況はこれから厳しさが増し、まさに正念場を迎える」というニュアンスで、一方、日本経済新聞では「2月の指数が焦点」として、まだまだ判断を下すのは早いというニュアンスでコメントが使われている。

   第一生命経済研究所のホームページを見ると、新家義貴氏は1998年に第一生命保険入社、内閣府に出向し、経済の総合指標の作成・検証・分析などに携わった経歴がある。それにしても、景気を予測・判断できるエコノミストの数が、それほど少ないということだろうか。

(福田和郎)

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