ブリグジット最終局面、今年前半の最大のヤマ場に
状況が変わったのは、労働党から7人の議員が離党したことです。7人はいわゆる親EU派議員でした。元来、親EUであった労働党はさらなる離党者を出さないため、党の方針を2回目の国民投票実施に定めました。
労働党側が2回目の国民投票実施に動いたので、焦ったのは保守党内のハードブレクジット派議員たちです。もし、下院で国民投票の実施が採決された場合、保守党内の親EU派議員が賛成に回ることで、国民投票の実施が決まるかもしれません。
そうなると、国民投票の結果次第では、せっかく勝ち取ったブレクジットが水泡に帰す可能性もあります。
そのため、ハードブレクジット派の有力議員であるジェイコブ・リースモッグ議員は、懸案となっているバックストップに期限を付けるなど、何らかの付帯条項を付けることでメイ首相の離脱案に賛成できると、大幅に譲歩してきました。
ただ、バックストップに付帯条項を付ける、EU側と英国側の話し合いは進んではいますが、今のところEU側は付帯条項に同意していません。
しかしながら、言えることは当初432対200という圧倒的大差で否決された案が、意外なことに3月12日にも合意に達する可能性があるということです。
とはいえ、現実的には3月12日の採決では、おそらくEU離脱法案は否決される可能性のほうが、まだ高いでしょう。その時は、失望からいったん英ポンドは売られる可能性はあります。しかしながら、3月14日までに延期が決定する可能性は極めて高いので、延期が決まるだけでも英ポンドは買い戻されると想定されます。
延期の決定で、1.33ポンド前後ぐらいまで上昇するのではないかというのが、市場の予想です。
もし離脱法案が可決された場合、そのとき英ポンドは対ドルで1.38ポンド前後まで反騰する可能性が出てきます。
年初こそ、為替市場は大きく動きましたが、その後は膠着相場が続いています。このブレクジットの最終局面において、英ポンドが大きく買い戻されるようであれば、今年前半の最大のヤマ場と言えます。(志摩力男)