英国のEU離脱で3月29日に起こること 大勢は「最悪の事態」回避と読むが......(小田切尚登)

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   2016年6月23日に英国は国民投票で欧州連合(EU)離脱を決定した。離脱賛成の得票率は52%であった。

   この意外な決定に世界は驚かされた。トランプ米大統領の選出と並ぶ、近年のビッグニュースといわれるようになった。これでEU離脱へ一直線かと思われた英国だが、翌17年に選ばれた議会はEU離脱に反対の議決をした。

   国民投票と議会の判断が割れたということだ。

  • 英国のEU離脱、期限迫る!
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経済の話は一般人には理解しにくい

   EU離脱派とEU残留派との攻防は、今も続いている。

「やはりEUにとどまろう」
「もう一度投票をした方が良いのでは」
「いや離脱の方針は変えるべきでない」

などと、さまざまな意見が入り乱れている。

ともあれ、離脱の期日は2019年3月29日。つまり、今月最後の金曜日ということで当初から決められている。このままいくと、あと何日かで自動的にEU離脱となってしまうということだ。

   英国のメイ首相は、「民意を尊重して離脱するべきだが、やみくもにするのではなく期日を延長して十分な準備をして行うべき」と、提案している。

   英国民が、なぜそんなにEUを嫌うのか――。それは「英国が(EUの本部のある)ブリュッセルの言いなりになるのはまっぴら」という考えが根強いためだ。

   英国民の関心は、移民問題やアイルランド問題などに注がれがちである。EUに加盟しているために移民がもっと入ってくる、という話は受け入れられやすいが、EUのおかげで経済面でメリットを得ている、というのはより複雑な話なので、一般人にはなかなか理解しにくい。

小田切 尚登(おだぎり・なおと)
小田切 尚登(おだぎり・なおと)
経済アナリスト
東京大学法学部卒業。バンク・オブ・アメリカ、BNPパリバなど大手外資系金融機関4社で勤務した後に独立。現在、明治大学大学院兼任講師(担当は金融論とコミュニケーション)。ハーン銀行(モンゴル)独立取締役。経済誌に定期的に寄稿するほか、CNBCやBloombergTVなどの海外メディアへの出演も多数。音楽スペースのシンフォニー・サロン(門前仲町)を主宰し、ピアニストとしても活躍する。1957年生まれ。
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