2016年6月23日に英国は国民投票で欧州連合(EU)離脱を決定した。離脱賛成の得票率は52%であった。
この意外な決定に世界は驚かされた。トランプ米大統領の選出と並ぶ、近年のビッグニュースといわれるようになった。これでEU離脱へ一直線かと思われた英国だが、翌17年に選ばれた議会はEU離脱に反対の議決をした。
国民投票と議会の判断が割れたということだ。
経済の話は一般人には理解しにくい
EU離脱派とEU残留派との攻防は、今も続いている。
「やはりEUにとどまろう」
「もう一度投票をした方が良いのでは」
「いや離脱の方針は変えるべきでない」
などと、さまざまな意見が入り乱れている。
ともあれ、離脱の期日は2019年3月29日。つまり、今月最後の金曜日ということで当初から決められている。このままいくと、あと何日かで自動的にEU離脱となってしまうということだ。
英国のメイ首相は、「民意を尊重して離脱するべきだが、やみくもにするのではなく期日を延長して十分な準備をして行うべき」と、提案している。
英国民が、なぜそんなにEUを嫌うのか――。それは「英国が(EUの本部のある)ブリュッセルの言いなりになるのはまっぴら」という考えが根強いためだ。
英国民の関心は、移民問題やアイルランド問題などに注がれがちである。EUに加盟しているために移民がもっと入ってくる、という話は受け入れられやすいが、EUのおかげで経済面でメリットを得ている、というのはより複雑な話なので、一般人にはなかなか理解しにくい。