2020年、東京が「ウーバー特区」になるかも!?
ウーバーは米国外でも展開をはじめ、いまでは70か国以上に広がっている。日本には6年前に上陸したが、日本の旅客輸送をめぐる規制は、米国などより厳格。自家用車を使ったライドシェアリングが、「白タク」行為とみなされるなど、米国のそれをそのまま持ち込むことはできなかった。現状は一部のタクシーやハイヤー会社とのビジネスにとどまっている。
そんなウーバー事情に、「ウーバー革命の真実」(ディスカヴァー・トゥエンティワン) の著者、立入勝義氏は、問題は「その(産業変革のサードウエーブといわれるウーバー)力を、日本市場でも発揮できるかどうかだ」としている。
配車や管理面で、ウーバーには「一日の長」がある。そのウーバーがプレゼンスを高める、最も近いタイミングが来年、2020年の東京五輪・パラリンピック。18年に年間3000万人を超えた外国人観光客は、さらに増大。「ウーバーが普及している国から日本を訪れる人々にとって、同じアプリと決済方法で配車を予約できるウーバーはこの上なく便利だ」と、立入氏。利用者が運転手に、不慣れな言葉で行先を告げる必要もないから、お互いにストレスレスでもある。
じつは、ウーバーの筆頭株主のファンドは、ソフトバンクグループの孫正義会長が資本提携して運営されている。また、トヨタ自動車は18年8月、ウーバーと、自動運転技術を活用したライドシェアサービスの開発促進と市場への投入を目指して協業の拡大で合意し、5憶ドルを出資した。ソフトバンクもトヨタもウーバーの日本でのポテンシャルを評価して投資しているに違いない。
「相手国の法律を変えてまで参入する」のが「シリコンバレー独特のやり方」と聞くと、「おもてなし」重視の日本だけに、東京あるいは首都圏が2020年、「ウーバー特区」になっている可能性がなきにしもあらずだな、と思う。
ウーバー革命の真実
立入勝義 著
ディスカヴァー・トゥエンティワン