『ウーバー革命の真実』(立入勝義 著)ディスカヴァー・トゥエンティワン
送迎配車サービスのウーバー(Uber)は、宿泊仲介サービスのエアビーアンドビー(Airbnb)とともに、産業変革のサードウエーブ(第3の波)を担う存在といわれている。
サービスはすでに日本に上陸しているが、民泊の普及などでエアビーアンドビーは定着した感があるのに比べ、ウーバーはいまだに本格稼働には至っていない。
米国などでは使いやすさと便利さで、旅客輸送でまさに変革を起こしたものだが、果たして日本では「ウーバー革命」が起きる可能性はあるのだろうか――。
利用客も、運転手も手間いらず
「配車アプリ」などとも呼ばれるウーバー(企業名は「ウーバー・テクノロジーズ」)は、移動したいときに、スマートフォンのアプリを操作して配車をリクエストするサービス。基本的なコンセプトは「ライドシェアリング(同乗)」。その中に大きく分けて「ウーバーX」と呼ばれる「報酬目的のライドシェア」と、1台のクルマで目的地が同じ方向の数人が、安い料金で相乗りする「ウーバー・プール」というサービスがある。
一部の場合を除いて、日本の二種免許のような旅客輸送のためのライセンスが必要ない米国では、ウーバーが登場してから、これを使って「タクシー業」に参入する個人が相次いだ。それにより、既存のタクシー産業に大きな打撃を与え、倒産したり、売却されたりするタクシー会社があることが報告された。
とはいえ、ウーバーは、とにかく便利なようだ。利用者は「ウーバー・プール」か「ウーバーX」かのサービスはもちろん、大型、高級、ベーシックなどのクラス別をリクエストし、また介護や車いすなどについての希望を添えられる。
利用者からのリクエストを受けると、ウーバー側で付近にいる複数の運転手を探し出しマッチング。運転手のアプリにリクエストの内容が伝えられ、合わせて迎えにいくまでの距離や、リクエストした利用者の乗客としての評価が知らされる。
運転手が応じれば、利用者をピックアップして送り届ける。運賃の支払いは、スマホアプリを通じて処理されるので、キャッシュレス。直後に運転手の銀行口座に振り込まれる仕組みになっている。
利用者も、運転手も手間いらずというわけだ。