百貨店復権!? 観光政策の強化で三越伊勢丹HDが「買える」(石井治彦)

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株価は底値圏 今こそ「買い」のチャンス

   2019年1月30日付の日本経済新聞は、「羽田発着枠 拡大確実に」の見出しで、米国側の管制空域を通過することで、発着枠が現状年6万回から9万9000回に増え、2020年の東京五輪・パラリンピック前の運用開始を見込んでいると報じた。訪日客の受け入れ拡大に向けた「弾みになる」と伝えている。

   そうしたなか、百貨店業界は売り上げを大きく減らしてきたが、歯止めがかかってきたように見える。「百貨店の売上高推移」(経済産業省~経済解析室ニュース)を見ると、2010年~2016年の売上高は、6.8兆円~6.6兆円とほぼ横バイで推移している。

   百貨店は合従連衡の時代に入り、2008年に三越と伊勢丹の統合で三越伊勢丹HDが誕生。長らく続いた業績の低迷も、地方都市の不採算店の閉鎖、リストラの徹底並びに、旗艦店のリニューアルと、スクラップアンドビルトも、大きな山を超えつつあるようにみえる。

   「リストラ効果もあって、2019年3月期、さらに来期も増益が見込まれる状況になってきた」と、会社四季報最新銘柄レポート(2019年2月13号)にもある。

   海外からの団体旅行者にとって、タイトなスケジュールの中で、短いフリ―タイムを利用して目的のモノを探すには、宝飾品、時計、化粧品などのブランド品の揃った百貨店は大変便利な場所と考えられる。

   また、政府による観光政策推進が、長期的に安定した売り上げの増加に結びつく可能性は大きい。

   来夏に東京五輪・パラリンピックを控え、訪日外国人を迎える百貨店業界の準備は着々と進んでいるようだ。大都市に店舗を構える百貨店にとっては、東京五輪は今後を占ううえで、試金石になると考えている。

   三越伊勢丹HDの株価は、過去10年の長期チャートを見ても、安値圏にある。現状、1000円前後を買い場と考えているが、長期投資を考えれば、業績改善の傾向が見られる今こそ、仕入れの好機とみている。

2019年3月5日現在   保有株数 ゼロ
年初来高値 2018/6/12    1432円00銭
年初来安値 2019/2/12    1042円00銭
直近 終値 2019/3/ 5    1106円00銭

石井治彦(いしい・はるひこ)
   1970(昭和45)年に大学卒業後、自動車大手に勤務。リース販売を手がける。投資歴は実質25年。入社後にユーザーと接するなかで得た情報と自分の知識で、最初のボーナスをもとに株式運用を開始。しかし、78~98年の20年間は投資する余裕がなく、休止に。それが幸いしてバブル崩壊の痛手は軽傷だった。ただ、いつでも動けるよう、日本経済新聞をはじめ経済誌などには目を通していた。
   「現物株式取引」と「長期投資」が基本姿勢。2011年の退職後は少しの小遣い稼ぎと、興味をもって経済誌を読むために株式を保有している。現在、14の銘柄で、1万3800株を運用。東京都出身、69歳。
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