「ざんねんなクルマ事典」(ベストカー編集部編、岡英明監修)講談社ビーシー/講談社
親しみがあるからこそ、愛おしいからからこそ、惜しいところがあると口にしてしまう「ざんねんな......」。それがクルマと聞けば、「なになに!?」と身を乗り出したくなる人は少なくないはずだ。
「ざんねんなクルマ事典」は、そんなクルマファン、カーマニアに響いたようで、2018年12月6日の「第1刷」から約1か月後の19年1月17日に早くも「第2刷」となって軽快に飛ばしている。
「史上最低のスカイライン」って......
1980年代前半から2010年ごろまで発売されたクルマのうち、「ざんねん」とみられる約100台をリストアップした。
外見に疑問を抱かざるを得ない「デザインがざんねん!」編や、こだわって搭載した機能がかえって不人気の要因になった「機能がざんねん!」編、そもそも開発や製造の意図がよくわからない「狙いがざんねん!」編に、「走ってざんねん!」編や「名前&そのほかいろいろざんねん!」編、「ざんねんな輸入車たち!」―― 6つのテーマに分けて、ほとんどのモデルをカラーで紹介している。
紹介されているクルマの中には、愛好家が「名車」と惚れ込むモデルも少なくないだけに、インターネットにもさまざまな感想が寄せられている。とはいえ、そうした声は愛着の裏返しなのか、「ざんねん」な指摘に共感を示すものが多い。
たとえば、この事典の収録モデルの中では、2010年2月発売と新しいほうに属するホンダ「CR-Z」は「機能がざんねん!」な1台。ハイブリッドシステムを搭載したスポーティーな小型クーペで人気は高かったが、リアシートがあまりにも狭く、長時間座って移動するのは「まるで何かの罰ゲーム」のよう。そうした指摘に、ネットでは「うなされるような強烈な圧迫感」のコメントに、多くの共感が寄せられた。
リアシートがその機能を発揮できないクルマはほかにもあり「座れない3列目シート」がポイントになってノミネートされたモデル。また、これまで欧州のスーパーカーを模して開発、製造されたガルウイング(跳ね上げ式)ドアの国産モデルが2車種あるのだが、いずれも実用面で「ざんねん」度が高いそうだ。
「高出力の代償に燃費最悪」のクルマや「史上最低のスカイライン」のほか、ファンを喜ばせた後にすぐ落胆させた「ポルシェデザイン」のモデル、自由に遊べる後部スペースを売りにしたモデルの外観がまるで「現金輸送車」だったという「ざんねん」ぶりも披露されている。
いま、自動車開発は人工知能(AI)などを使った自動運転モデルに力が注がれているが、その中でも過去の「ざんねん」な経験が生かされ、走行性はもちろん、デザインや居住性などに配慮されているという。
ざんねんなクルマ事典
ベストカー編集部編、片岡英明監修
税別1380円