伊藤忠のTOB提案 なぜ、デサントは「敵対的=悪」と思ったのか?(大関暁夫)

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「企業価値」を高めるのは、どっちだ!?

   伊藤忠は現状打開策として、同社の幅広い人脈を活用した国内市場の拡大と、より大きなマーケットである中国市場への進出を提案しています。

   さらに、その戦略を押し進めることで結果的に両社にプラス効果が生じることを強調。今回の敵対的TOBが、決して相手の経営権を手にして自社の配下に置こうという大企業の規模拡大戦略の一環や、買収後に整備して会社ごと売却して利益を得ようなどという、儲け主義的な発想ではないことは、敵対的とは言い難いTOBとして注目に値すると思います。

   すなわち、今回の敵対的TOBは、経営改善提策を直接取引のある企業の伊藤忠が提案し、デサントの現経営陣が考える成長戦略と、どちらがよりデサントの企業価値を高めることになると思われるのか、株主の判断を仰いでいるのだと受けとめることが正しい理解ではないかと思うのです。

   それに対してデサント側のコメントは、現状伊藤忠の敵対的TOBは大義がないと批判をするに留まっており、伊藤忠が提示している中期的な成長戦略に対抗する現経営者としての現状路線の正当性とそれに基づく中期戦略の提示が待たれるところです。

   双方の中期展望が出揃うならば、どちらがより株主にとって有益な戦略であるのか、あとは株主たちの判断を待つのみとなるわけなのです。

大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。近著に「できる人だけが知っている仕事のコツと法則51」(エレファントブックス)。連載執筆にあたり経営者から若手に至るまで、仕事の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
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