それぞれの「グッドストーリー」と「バッドストーリー」
加藤さんによると、A型「安心・安全型」の長所を伸ばして成長に導く「グッドストーリー」はこうなる――。
(1)言われたことを素直に聞き、場の状況を読んで合わせることができるので、周囲からも及第点と認識されるレベルの目標を設定し、確実に達成するように取り組む。
(2)経験を少しずつ積み、重要な業務・役割でも安定・確実な成果を上げて、着実に成長する。
(3)安心・安全を与えてくれる上司・同僚や職場環境の元では、周囲に献身的にふるまい、期待されている以上の組織貢献をしてくれる人材として喜ばれる。
一方、長所を伸ばせなかった場合の「バッドストーリー」はこうだ。
(1)過剰な目標を設定された場合、自信を失う。「今」自分ができることしかできなくなり、やったことがある仕事にのみ能動的になる。
(2)経験により得られた知見・スキルが使えない部署に配属されたり、役割を与えられたりすると、キャッチアップ(遅れを取り戻すこと)に時間がかかり、成長が鈍化(時には後退)する。
(3)そして、自ら考えて工夫し成果を上げることや、皆をリードする、周囲を巻き込む仕事が苦手になる。
また、B型「自己偏重タイプ」の「グッドストーリー」はこうなる――。
(1)経験のないことにも挑戦する意欲が高いので、できるかどうかを見極めながらも高い目標を設定する。自らの主張として設定した、という体裁が良い。
(2)チャレンジした成功体験、失敗体験から多くを学ぶ。自分の考えをさらに積極的に発信するようになり、思考が磨かれ、自分の考えを成果に結びつけるスキルが高まる。
(3)次なる自分の目標となる人や仕事を求め、自己実現を目指して、意欲的に取り組みながら成長し続ける。
一方、「バッドストーリー」はこうだ。
(1)自分本位の仕事ぶりが多くなり、上司・先輩、関係者との距離が離れて、一人でやれることしかできなくなる。
(2)自分目線・視点での成果・アウトプットが多くなり、相手視点を取り入れられず偏った成長を遂げる。
(3)もし、自分の目標となる人や仕事が見つからない場合には、職場に対する満足度が下がり、意欲的に取り組まなくなってしまう。
新入社員にとっても、彼らを育てる会社側にとっても、ぜひとも「グッドストーリー」を作りたいものだ。それにはどうしたらよいのか。後編では、ファーストキャリアの瀬戸口航社長の話を聞く。
(福田和郎)