もし、フレディがいなかったら......
全世界での興行収入が約116億6888万円(2月17日時点)を突破し、記録破りの大ヒットとなった「ボヘミアン・ラプソディ」ですが、封切り前の評論家たちの評価はひどいものでした。とりわけQUEENの母国・英国での評価は低くて、「パロディ映画にすぎない」と評されていたほどです。
そんな「前評判」をあざ笑うかのように、映画の評価は日ごとに高まり、あれよあれよという間に全世界にブームが広がって、数々の賞を総ナメにしました。
とりわけ、アカデミー賞受賞のインパクトは大きく、英国メディアも「ボヘミアン・ラプソディ」に軍配をあげました。今度ばかりは、評論家の面目が丸つぶれ、といったところでしょうか。
Bohemian Rhapsody's Oscars win is a triumph over snobby film critics
(「ボヘミアン・ラプソディ」オスカー受賞は、お高くとまった映画評論家たちへの勝利だ)
triumph over~:~に対する勝利
snobby:お高くとまった、鼻持ちならない
主演男優賞を受賞したラミ・マレックは、受賞スピーチで自身を支えてくれた人々に感謝のことばを述べました。
Thank you Queen... I'm forever in your debt
(QUEENのお二人、どうもありがとう。永遠に借りができました)
My crew and my cast - I love you. I could have never been here without you
(映画クルーやキャストの皆さん、愛しています。あなた方がいなければ、私がこの場にいることはなかったでしょう)
そこで「今週のニュースな英語」は、ラミ・マレックのスピーチから「could never~without you」を取り上げます。「あなたなしでは~できない」「~できたのはあなたのおかげ」という表現です。感謝の意を表したり、業績を評価したりする時によく使います。
I could never have done it without you
(あなたなしではできなかっただろう)
We could never have done this project without you
(あなたなしでは、このプロジェクトは達成できなかった)
今回のアカデミー賞授賞式を観て、改めてフレディ・マーキュリーの存在感の大きさを痛感しました。アダム・ランバードもいいのですが、やはり、フレディの躍動感や存在感にはかなわない。むしろ、フレディの不在ぶりが際だった感があります。
「フレディがいなかったら、この映画は作れなかった」
ラミ・マレックが一番伝えたかったのは、フレディへの感謝の気持ちだったのではないでしょうか。(井津川倫子)