東京―新大阪、いまや「ひかり」は1時間に2本
話を戻すと、JRの「ジバング倶楽部」は旧国鉄の時代の、「のぞみ」が登場する前からあるサービスだ。だから、「のぞみ」の特急券が割引の対象外になっていても当初は不思議でもなく、また不便さも感じなかった。
ところが、ダイヤ改正のたびに「のぞみ」は増え、「ひかり」は減ってきた。今や「ひかり」は「のぞみ」の補完的な存在に落ちぶれてしまった。東京―新大阪では昼間、「のぞみ」は1時間当たり10本前後走っているのに、「ひかり」はわずか2本である。
もちろん、「のぞみ」に乗っても、乗車券だけは3割引きだから、割引なしの「のぞみ」の特急券を買ってもそれ相応にお得ではある。だけど、ジパング倶楽部の事務局に劣らずケチな僕は、そんなことはしたことがない。いつも「ひかり」で我慢している。
加えて、以前は東京から博多まで行く「ひかり」があったが、いつからか「のぞみ」だけになってしまった。割引の特急券を使おうとすれば、今は新大阪で乗り換えたりしなければならない。割引サービスが、もうダイヤの「実態」に即していないのではないか。
JRの「制約きっぷ」はほかにもある。ジパング倶楽部の会員は200万人以上いるそうだが、中途半端なサービスのおかげで、僕と同じように、何かと不自由な思いをしている老人も少なくはないはず。もちろん、すべての年代層が不便を感じているように思うのだが。(岩城元)