「やりたいことを早く見つけ、スキルを伸ばして」
こうしたことから、「これからの学生は大変」と、遠藤さんは言う。
「中途採用が一般化すれば、新卒が職を得るのは今よりも困難になります。高い技能を持ち、すぐに職を得られる者と、技能を持たずに職を得られない者との2極化が進むでしょう。
2020年の東京五輪後は景気が後退するとの見方もありますが、しばらくは景気の良し悪しが新卒採用に影響すると思います。2021年は、海外経済の動向などから考えると、今よりも景気の減速感が強くなっているかもしれません。実際、構造的に厳しい業界、たとえば銀行などはすでに採用を減らす方向に動いています。
そのうえで、
これからは、自分が入りたい企業が成長産業と衰退産業のどちらに所属しているのかが圧倒的に重要になります。ここ数年の成長産業では、IT企業をはじめとして、スキル(技能)を非常に重視しています。『単に景気がよいから就職できる』『超売り手市場だから安心できる』という甘い状況ではなくなっていくでしょう。
やりたいことを早く見つけ、自分のできる範囲でスキルをきちんと伸ばしてほしいです。準備は早ければ早いほどよいです。自分の就きたい職から逆算して、今何をやるべきかをきちんと考えるべきです。一斉に就活を始めて、一斉に内定をもらうという時代は終わりがきますから」
と、アドバイスする。
では、本当に「就職氷河期」が再びやってくるのだろうか――。
「かつてのような氷河期は、現在の深刻な人手不足を前提とすると、来ないのではないでしょうか。ただ、今後温暖期が続くとしても、スキルを持っているかどうかの選抜がだんだんと厳しくなるので、一部の人が内定を多く取る一方で、まったく内定を取れないという人も増えてくると思います。今回の調査は、新卒採用に焦点を当てましたが、一番のポイントは、今後スキルが重視される労働市場が広がるという点です。単に勤続年数が長いから給料が高いという傾向はなくなっていきます。この点から考えると、むしろ本当に厳しい状況に陥るのは、今の30~40代の働き手かもしれません。自分の能力をどう伸ばしてくか、本気で考える時期にきています」
遠藤さんは、そう話す。
(福田和郎)