夜がダメなら朝早くなんて、言語道断!
「働き方改革」本来の趣旨が抜け落ちてしまっているのは、前出のお三方をばかりではありません。その手の発言を耳にするケースが、最近本当に増えているように感じています。
念のため、お三方の発言を「働き方改革」の観点から、検証してみましょう。
まずA社長は、総労働時間の短縮による売り上げ減少に対する恨み言と、時間外手当減少に対する従業員からの不満の声に同調的な発言でした。業務の効率化が目的であることを十分理解しているなら、もっと改善に前向きな言葉が出てくるはずです。
通信キャリアの契約代理店という立場上、やむなく上から言われるままに、言うことを聞いているのだという意識が邪魔をしているのかもしれません。
B社長は、人員増、有給消化に関する目標達成に胸を張っていましたが、それ自体は働き方改革の手段であり、目的ではないという点で大きく見誤っているように感じさせられます。
大手企業グループのある意味で一部門であり、やはり主体性に欠けた親会社からの指示による目標達成意識が先行しているような印象です。
C取締役人事部長ですが、これはもう論外。夜8時以降の残業を早朝に振り替えただけの話ですから、業務時間の短縮にならないばかりか、社員の睡眠時間が逆に減るぐらいの感じでもあり、本気で「働き方改革」に取り組む気があるのか、と言いたくなるレベルです。
極端なことをいえば、一たん帰宅したあとに終電で再出勤して朝まで仕事をするなんてことになったらどうするのでしょう。効率化への意識以前に、冷血な銀行イメージを増幅するような、まったく社員への愛情を感じさせないやり方であると言わざるを得ません。