修羅場を経て成長したければコンサルティングが一番
業種別にみると、おもしろいことに気づく。コンサルティングとマスコミはともに「自分の成長につながる修羅場経験」ができる割合が高い業種だった=図表1参照。しかし、分解してみると構造は大きく異なってくる。コンサルティングは「ハードワーク率」(46.3%)と「育った率」(66.5%)が両方とも高いのに、マスコミでは「ハードワーク率」(42.5%)は高いが、「育った率」(46.3%)は平均(41.1%)を少し上回る程度だ。また、「自分の成長につながる修羅場経験」率では平均程度だったIT・通信・インターネットは、「ハードワーク率」(20.6%)が低いが、「育った率」(51.0%)が非常に高かった。
この結果を、古屋さんは
「コンサルティングは新陳代謝の激しさもあり、若手にチャンスが分配されている業界です。マスコミは年数や経験がモノをいう人脈などが専門性に直結するためか、『育った』という思いを若いうちには感じづらいのかもしれません。分析を『ハードワーク率』と『育った率』に分解したように、私は『ハードワーク=育つ』という発想自体は前時代的であると思っています。
他方、その仕事で一人前になるための時間、つまり『最低努力時間』のような考え方はまだ存在しています。そう考えると、『育った率』については、マスコミのように『最低努力時間』が長い業種では、20代のうちに『成長』を感じづらく、『最低努力時間』が長すぎることから、20代に大きなチャンスを分配できていない業種が、『育った率』が低くなる傾向にあるとみています。こうした業種では、若手は忙しいけど大きなチャンスが巡ってこない、という状況が起こるのです」
と説明した。
というわけで、深読みすればこのデータは、「『本当にその仕事の最低努力時間がそんなに長くていいのか?』『一人前になるための期間はもっと短くできるのではないか?』という大きな疑問を投げかけているのかもしれません」。
こうしたデータから「ハードワーク率」と「育った率」をもとに、業種をマッピングしたのが図表4だ。平均の右上に存在している業種が「厳しい仕事が多く、成長できる」業種だ。特に「ハードワーク率」と「育った率」の相関近似曲線よりも上側にある、コンサルティングやIT・通信・インターネットは効果的に成長できる可能性が高いといえる。