施工不良問題に揺れる、賃貸アパート大手のレオパレス21と直接取引のある1次と間接取引の2次の仕入先と販売先が合わせた取引先総数が、2670社(重複を除く)にのぼることがわかった。東京商工リサーチが2019年2月8日に発表した。
東京商工リサーチは「信用失墜により万一のことが起きれば、取引先の多くを占める中小企業にも悪影響が及ぶことを認識すべき」としている。
施工不良、33都府県の1324棟 居住者に転居要請
レオパレス21は、新たに1324棟の物件で壁や天井などに施工不良が見つかったと、2月7日に発表した。天井の耐火性能が不足する641棟の入居者約8000人に、速やかな転居を要請した。費用は同社が負担する。
同社は2018年3月に防火・防音のため屋根裏に設置する界壁がなく建築基準法に違反する疑いが発覚。その後の全棟調査で、新たに法令違反が疑われる危険性が高い不備が多数見つかった。確認された施工不良は1996~2001年の着工。建物物件の所在地は昨年5月公表の12都府県から33都府県に広がっている。
深山英世社長は記者会見で「誠に申し訳ない」と陳謝したほか、施工不良の要因を「(建築時の)作業効率を上げるのが一番の目的だった」と明かした。
こうした不良物件の補修工事費の引き当てなどで、360億円の特別損失を追加で計上。これに伴い、2019年3月期連結決算の業績予想を下方修正した。最終赤字は50億~70億円の従来予想から、380億~400億円へと330億円増える見通し。あわせて、深山社長が月額報酬の30%を6か月間にわたって返上するなどの経営陣の処分を決めた。
この余波は、入居者ばかりでなく、関連の下請企業とその従業員の生活にも悪影響を及ぼしそうだ。東京商工リサーチの調べによると、レオパレス21の取引先2670社のうち、仕入先は2364社、販売先は306社だった。
取引先を産業別でみると、615社あった1次仕入先は、建設業の335社(54.4%)で最多。サービス業他が91社(14.8%)、不動産業69社(11.2%)と続いた。1786社あった2次仕入先では、建設資材などを含む卸売業が641社(35.8%)と最も多く、建設業の397社(22.2%)、印刷業を含む製造業が322社(18.0%)だった=下図参照。
販売先では、82社の1次販売先のうち、最多は不動産業の37社(45.1%)。サービス業他が19社(23.1%)、建設業12社(14.6%)の順だった。2次販売先は、製造業が63社(27.3%)で最も多く、サービス業他53社(23.0%)、建設業46社(同20.0%)と続いた。