「育たない」「上達しない」「身につかない」と嘆く前に、社長がやってみせればいい(大関暁夫)

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デキるスタッフをマネる!

   店長たちのこの話を聞いて、私は思わず挙手して発言しました。

   人間は幼い頃から人の行動を見て学ぶ動物であり、歩いたり話したりする親の姿を見て自分もそれをマネで歩いたり話したりできるようになるのだということ。ロープレも同じ、成果の上がらないスタッフが練習することよりも、まずは成果が上がっているスタッフのセールストークを皆で何度でも見て聞いて、それを上手にマネることが重要なのだ、と強調しました。

   ふだん、店長会議ではあまり口を開かず静かに成り行きを見守っている社長が、私の話を聞いて思わず声を上げました。

「それは私にも思い当たるフシあり。新人サラリーマン時代、飛び込みでOA機器販売をしていてどうやったら商品を買ってくれるのか、まったくわからず成果も上がらず。もう辞めようかと思っていたとき、ダメ元で先輩に頼み込んで同行訪問をさせてもらい、セールストークを見てマネしてみようと思ってね。そしたら、それを機におもしろいように売れるようになったわけ。コツってあるんだなとつくづく思いました。マネだって立派なテクニック。ロープレでは、できるスタッフの手本を見て学ばせることを徹底してください」

   今後、D社の店長会議でどのようなロープレ効果が報告されるのか、ちょっと楽しみです。

   営業スタイルに限らず、教育指導の盲点は意外にあるものです。良かれと思い、ああやれこうやれと、事細かに指導してもなかなか身につかない。あるいは、やってごらんと言ってやらせてみてから、そうじゃない、こうしろああしろと言っても、本人は右から左だったり。教えることの近道は、黙って手本を見せることだというのは、意外に見落としがちなものです。

   「育たない」「上達しない」「身につかない」と思ったら、社長自身がまずやって見せるというやり方が、じつは一番効果的だったというケースも、よくある話です。(大関暁夫)

大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。近著に「できる人だけが知っている仕事のコツと法則51」(エレファントブックス)。連載執筆にあたり経営者から若手に至るまで、仕事の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
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