経済より「政治重視」の市場へ
2019年の株式市場がどうなるのか、為替市場がどうなるのか。じつは、これはもう、経済分析では答えが出ないのではないでしょうか。米中貿易戦争の推移によって、結論が大きく変わってくるからです。中国側が「意図的に」金融市場に揺さぶりをかけてくる可能性が否定できないからです。
よく話題になるのが、中国が大量に持つ米国債です。米国債を大量に売り浴びせることによって、米国債市場を暴落させることは可能です。しかし、それは自らが持つアセットを暴落させることになりますから、中国側にとっても損です。自ら損失を招く行動を中国側が起こすことはない、というのが金融界での常識になっています。
しかし、国債という商品の特性から言うと、いくら暴落しても満期には元本が帰ってきます。これは株との大きな違いです。そして、中国人民銀行も、中国共産党の下部組織です。共産党側から司令が出れば、実行するでしょう。このときには、少々の金額の損得ではありません。
年末年始の急落から株価は回復し、FRBも引き締め路線を放棄しました。リスクアセットには好環境に見え、株価も(何事もなければ)このまま高値を維持しそうです。しかし、経済より政治が重視される時代になったのです。
危機は政治サイドからやってきます。その意味では読み難い時代になりました。(志摩力男)