広がる「聖地巡礼」ビジネスの可能性 地域活性化に必要な「シーンの再現」(気になる本の散歩道)

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ゲストがゲストもてなす新構図

   一方、アニメ「けいおん!」の舞台となった滋賀県の豊郷小学校旧校舎群では、「巡礼者」たちがリアルに再現した作品のシーンで、その場所が、より聖地化。それが巡礼を呼び込むことになったという。

   それは「けいおん!」のなかで、部室として描かれている部屋の風景。アニメでは、キャラクターたちが部室でお茶を飲むシーンがたびたびあり、そのうちの一人が富裕な一家のお嬢さまで、彼女が英国の高級テーブルウエアであるウェッジウッドを用意する。巡礼者たちは、作品中の製品を特定してそろえ、それらをリアルな場できれいに並べたのだ。

   著者は、「ここで注目していただきたいのは、巡礼者がさまざまなものを持ち寄ったことでアニメのシーンが再現されてしまったということ。この『遊び』は立派な観光資源」という。

   食器は地域の人たちではなく、巡礼者たちによって用意された。ゲスト(旅行者)がゲスト(旅行者)をもてなすという構図は、これまでにない巡礼ビジネスに資する新しい観光ホスピタリティーといえそうだ。

『巡礼ビジネス ~ポップカルチャーが観光資産になる時代』
岡本 健 著
KADOKAWA
860円(税別)

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