働き方を柔軟にすると女性管理職志向が高まる
では、何が女性たちの管理職志向を妨げているのだろうか。
調査では、働き方改革の問題が浮かび上がってきた。「副業・兼業」や「クリエイティブ・オフィス」(=創造性を重視した執務スペース)、「テレワーク」(=在宅・オフィス外勤務)といった、場所や時間にとらわれない先進的な働き方改革が推進されている職場では、女性の管理職志向が高いことがわかった。
たとえば、「副業・兼業制度」が導入されている職場では、管理職志向が高い女性は51.5%、また「クリエイティブ・オフィス」では47.5%、「テレワーク」では44.8%と、20代、30代女性全体の平均20.0%に比べて、2倍以上も高い水準だった。特に「テレワーク」の促進は、場所の拘束からの解放となり、従来も子育て中の女性には特権として認める企業は多かった。この制度が広がり、他のメンバーもテレワークで働くようになれば、女性が管理職になっても気兼ねなく制度を利用できる環境が整う。
砂川さんは、こう強調する。
「女性が『管理職になりたがらない』からといって『意欲が低い』わけではありません。『成長意欲』という仕事に対する前向きな姿勢があっても、旧来の管理職のあり方ではやっていけないと感じていることが問題なのです。画一的な職場環境では、体力やライフステージなどのハンディキャップを抱える女性がパフォーマンスを発揮していくことは困難だと思います。『副業・兼業』『クリエイティブ・オフィス』『テレワーク』など働き方が多様化することで、さまざまな価値観やバックグラウンドをもつ人材が活躍できる土壌ができていくと思われます。これは、女性に限らず、男性も同じです。さまざまな人材のパフォーマンスを最大限に引き出す視点が大切です」
(福田和郎)