これは冒険、ロマン? 究極の住まい! 一軒家まるごとDIYにトライした男【気になる本の散歩道】

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セルフビルドは「冒険とロマン」

   いよいよ、現場を舞台にした作業が始まる。専用の作成ソフトを購入し間取り図を作る。図面は申請のため、建築士に清書を依頼。提出書類は、平面図、立面図のほか地盤調査したうえでのコンクリート基礎の図面や建物内の空気循環を計画した図面など専門知識がないと書けないものが多数ある。

   「とても素人の手に負えるものではない」のだ。

   完成までの作業のなかには、一人では不可能なことや、素人の手には負えないものがたくさん登場する。男はそれぞれの場面で、このセルフビルドの過程で出会った人たちに助けられ、幸運にもめぐまれ、2年かけてなんとか棟上げまでたどり着く。

   だが、素人の工事が順風満帆に進むはずもなく、トラブルが続く。屋根の断熱材が強風で何度もとばされて心が折れそうになったり、配管工事の溝掘りを失敗して雨の中で作業をやり直し泥だらけになったり。予想もしなかった記録的な大雪に見舞われ、完成前なのに家崩壊の危機を迎えたりもする。

   長女はすくすく成長するが工事は遅々として進まない。妻からは長女の小学校入学までにはと急かされるが難題はまだまだ続く。それらをなんとか克服して進むセルフビルドのプロセスは「冒険」、あるいは自分の家を自らの手で建てる「ロマン」の物語といっていいかもしれない。

   本書『家をセルフでビルドしたい』は、男がDIYで自宅を建てようという決意に至るまでの「建築前夜」から書き起こし、工事のスタート~完成までをつづった、セルフのドキュメンタリー。

   DIYでマイホーム建築を考えている人にはもちろん、まったく考えていない人にとっても、家を建てるときの手続きや届出、電気、上下水道の配備について知ることができ、建材や建築資材の選び方で住み心地が変わることが実感できる「住まい」の参考書にもなる。

「家をセルフでビルドしたい 大工経験ゼロの俺が3LDK夢のマイホームを6年かけて建てた話
阪口克著
文藝春秋刊
1650円(税別)

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