SDGSの基礎(その7)私たちに何ができるか! 一人ひとりが考えるべきことは?(大和総研 太田珠美)

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   SDGs(持続可能な開発目標)は、日本政府が目標達成に向けてさまざまな施策を講じているほか、地方自治体や民間企業などが主体となって、幅広い取り組みを進めています。

   こうした動きのなか、私たち一人ひとりができることは何でしょうか。

  • 一人ひとりの行動がSDGs達成の原動力になる!
    一人ひとりの行動がSDGs達成の原動力になる!
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個人でもSDGs達成に貢献できる

   たとえば、「目標1:貧困をなくそう」や「目標2:飢餓をゼロに」に対しては、各種団体を通じた寄付や、ボランティア活動があるでしょう。

   最近では、預金の利息の一部を寄付する「ボランティア預金」や、社会的な課題の解決に寄与することを目的に投資する「インパクト・インベストメント」といった金融商品があり、こうした金融商品に資金を投じてみるのもSDGsに貢献するひとつの方法でしょう。

   「インパクト・インベストメント」では、最近は「グリーンボンド」を発行する国際機関・企業が増えています。グリーンボンドは、グリーンプロジェクト(環境面での持続可能性の向上に貢献するプロジェクト)に係る資金調達に用いられる債券です。

   従来、法人向けに発行されることが多かったのですが、2018年に商船三井が日本で企業としては初めてとなる個人向けグリーンボンドを発行しました。

   調達したお金は、船舶の排ガス中に含まれる大気汚染物質の排出を抑制する装置(SOxスクラバー)などをはじめ、5つのグリーンプロジェクトに充当すると公表しています。

   日々の生活の中で、SDGsの達成に貢献できることもありそうです。

   たとえば、日々消費する資源を大事に使うといったことです。「目標12:つくる責任 つかう責任」のターゲットの中には「2030年までに小売り・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食料の廃棄を半減させ、収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食料の損失を減少させる。」 という項目があります。

   国連食糧農業機関(FAO)によれば、世界全体で消費者向けに生産された食品のうち、およそ3分の1にあたる年間13億トンが廃棄されています 。こうした食品ロス(本来食べられるのに捨てられる食品)は日本でも年間646万トン発生していると推計されています 。

   食品の生産には水、肥料、飼料をはじめとして、さまざまな資源が投じられており、また温室効果ガスも発生しています。

   さらに、農地を広げるために原野を開拓すれば、生物多様性の損失にも影響します。食品の過剰生産を減らすことは、資源の節約や温室効果ガスの抑制、生物多様性の維持などに効果があると考えられます《注》。

日々の生活を通じて、できることをやる!

   「目標12:つくる責任 つかう責任」にあるように、過剰生産を減らすためには、流通や販売の段階で廃棄されてしまう食品を減らすことも大事ですが、最終消費者である私たちが、たとえば、ふだん買い物をする時に使いきれる量(食べきれる量)を購入する、外食する際にも食べきれる量を注文するなど、日々心がけることも大事でしょう。

SDGsの17の目標
SDGsの17の目標

   こんな貢献の仕方もあります。SDGsに積極的に取り組んでいる企業の製品・サービスを利用すること、つまり応援することは、個人がSDGsの達成に貢献できることのひとつです。

   たとえば、私たち消費者が環境を意識した原材料の調達をしている企業の製品を積極的に購入するようにしたり、児童労働や強制労働によって生産された製品を購入しないようにしたり、SDGsを意識した消費行動をすれば、製品を製造する企業にとってSDGsに取り組むインセンティブが高まります。

   個人でもSDGsの達成に貢献できることは、いろいろあります。私たち一人ひとりの行動が、2030年のSDGs達成の原動力になり得るのです。(大和総研金融調査部・主任研究員 太田珠美)

《注》
外務省「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」(仮訳)
国連食糧農業機関「GLOBAL FOOD LOSSES AND FOOD WASTE」(2011年)
消費者庁「食品ロス削減関係参考資料」(平成30年10月29日版)

(おわり)

太田 珠美(おおた・たまみ)
大和総研 金融調査部・主任研究員
2003年、大和証券に入社。支店営業や経営企画部を経て2010年に大和総研に転籍。投資戦略部で日本株式市場を担当したのち、資本市場調査部(現・金融調査部)でコーポレート・ファイナンスを担当。
著書に、「証券市場のグランドデザイン -日本の株式市場はどこに向かうのか-」(中央経済社、2012年12月、共著)。東京工業大学大学院非常勤講師(2017・2018年度下期)。
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