祝日の増加は景気にむしろマイナス
とはいえ、10連休で旅行業界などの景気はよさそうなものの、ほかの業界は休暇で稼働を停止し、こちらもまた異例の長期にわたって生産が止まる。ニッセイ基礎研究所の経済調査室長、斎藤太郎氏は、景気の押し上げ効果は旅行など一部の業種に限られたもので「日本の経済全体としては祝日の増加がむしろマイナスに働く可能性が高い」とみている。
斎藤室長は、経済産業省の「鉱工業指数」「第3次産業活動指数」「全産業活動指数」などの経済指標をもとに、季節、祝日を考慮した独自の算出法で生産量を試算。休日が1日増えた場合の生産量の増減率を業種別に割り出したのだが、それによると、祝日が多くなると生産量が増えるのは、0.83%アップの「生活娯楽関連サービス」の1業種のみ。そのほかは軒並みマイナスで、なかでも創業日数が減る「鉱工業」はマイナス0.95%、第3次産業の「金融業・保険業」ではマイナス0.98%と減少率が高かった=下図参照。
「医療・福祉」についても、マイナス0.71%と減少幅が大きいが、これは「土日・祝日が休診となる病院が多く、10連休の悪影響が懸念されていることを裏付ける数字とみることもできるだろう」という。
「生活娯楽関連サービス」のアップ率は0.83%と比較的大きいのだが、全産業に占める割合はわずか8.5%。このため経済全体に及ぼす影響は限定的にならざるをえず、景気全体を押し上げる効果はなく、済活動全般が対象の「全産業」での祝日が1日増えた場合の生産量の変化はマイナス0.41%だった。