あと1か月で、企業の採用活動がいよいよ本格化。エントリーシートや就職説明会の受付が始まり、2020年卒の大学生らの「就活」シーズンが幕を開ける。
新卒学生向け就職サイト「マイナビ」を運営するマイナビ(東京都千代田区)が来春卒業予定の大学生と大学院生を対象に実施した「ライフスタイル調査」によると、さまざまな情報を収集するために利用しているSNSは、交流型のフェイスブック離れが進み、インスタグラムなど発信型が好まれていることがわかった。2019年1月29日の発表。
LINEの利用は9割超!
「よく利用するSNS」(複数回答)は、男女とも「LINE」が最も多く、いずれも9割を超えた(男子93.5%、女子96.5%)。通話もできる便利さによるものとみられる。
利用割合はLINEに及ばないものの、伸びが著しいのは「インスタグラム」だ。男子で半数近く、女子では7割以上が「よく利用する」をチェック。前年と比べて、男子は12.5ポイントアップ、女子は10.6ポイントアップした。
身近な情報から、芸能人の近況を知るツールになっている「ツイッター」も利用頻度は高く、男女とも「よく利用」は前年に続き80%に近かった=図表1参照。
対照的なのは「フェイスブック(FB)」。年を追うごとに利用者は減っており、今回の調査では男女とも「よく利用する」と答えた割合は、男子が19.0%、女子は18.9%と、いずれも2割を下回った。
3年前には男女ともに「よく利用」が4割を超えており、他のSNSと比べると短期間に急減し、「ひとり負け」の格好だ。
FBの名前は、米国の大学が学生間の交流を促すために配布する本に由来。そのサービスの特性から、就活仲間の情報交換に適したSNSと思われるが、すでに多くの人とつながってしまったため、時限的な情報交換やプライベート利用がしにくくなったことが考えられる。
ここ数年はユニークな機能を持つSNSサービスがさまざま登場しているが、このうち、中国メディア企業による動画共有SNS「TikTok(ティクトク)」は流行語にもなったが、調査では男子5.2%、女子3.9%が「よく利用する」サービスにあげた。
また、チャンネルを分けてグループチャットなどができるサービスの「Slack(スラック)」の名前もあがり、理系男子での利用割合が前年比3.0ポイントアップの7.6%と、他より高い数字を示した。マイナビでは「主に情報系の研究室で『Slack』をチームコミュニケーションツールとして活用しているケースがあるためだと考えられる」としている。
ネットの利用、信頼度は21%...... 真偽見抜く力を
就活生にとって情報収集は就活の第一歩だが、情報源として「最も利用しているメディア」として支持されたのは、時代を反映して「インターネット」。その割合は前年比3.1ポイント増の85.3%で、14年卒を対象にした調査以来の最高を記録した。
その一方で、情報源として「最も信頼度が高いメディア」だったのは「新聞」で、33.6%だった。ただ、新聞が最も高い信頼を得たのは7年連続だが、その割合は毎年のように減少。14年卒を対象とした調査では49.2%。18年卒までは40%台をキープしていたが、19年卒で36.8%と4割を切り、今回調査の33.6%は歴代で最も低い割合だった=図表2参照。
また、就活生が情報源として「最も利用」している「インターネット」だが、その信頼度は21.4%。前年比3.0ポイント増と上向いているものの、胸を張れる数字ではない。インターネット情報の信頼度は、5年連続で20%を下回っていたが、14年卒を対象とした調査当時の水準(21.8%)に回復した格好だ。
インターネットにはさまざまなコンテンツがあり、いまだ高い信頼度を得ている新聞などのメディアも情報を提供している一方で、フェイクニュースに転じかねない個人による受け売り情報もある。マイナビでは、「ネット上の情報から真偽を見抜く力が、より必要になる」としている。
テレビの情報への信頼度は、5.8ポイント増の19.6%だった。
なお、調査は2018年11月26日から12月24日まで、「マイナビ2020会員」(11月26日時点)に実施。2020年に卒業予定の全国の大学3年生と大学院1年生の合計4656人(内訳は男子1834人、女子2822人)から回答を得た。法政大学キャリアデザイン学部との共同調査で、今回が10回目。