その75【中国編】親切すぎる「ゴミ箱」「こんなものいらない!?」(岩城元)

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日本では「ゴミは持ち帰れ」ということ

   日本では、「ゴミは持ち帰れ」ということなのだろう。そして、決められた日に、ちゃんと分別して、決められた場所に置いておきなさい、そうでないと、ゴミの収集はやりません、ということになっている。

   しかし、中国では適当に分別して街中のゴミ箱に捨てておけば、役所がちゃんと集めてくれる。日本の冷たい役所とは大違いだ。毛沢東氏の有名な言葉「為人民服務」(人民のために尽くせ)が今も生きているのだろうか。住宅団地内のゴミ箱だと、資源として回収できるかどうかなんて、考える必要もない。一緒くたにゴミ箱に放り込んでおけば、誰かが絶えずやって来て、カネになるプラスチックなどは持ち去ってくれる。

   中国式と日本式とでは、どちらがより好ましいだろうか――。ひとつ言えるのは、中国人が初めて日本に来た時、街中にゴミ箱が見当たらないので、「どこに捨てればいいの?」と、戸惑ってしまうそうだ。やむを得ず、道端に捨てれば、日本人から白い目を向けられてしまう。逆に、日本人が初めて中国に行っても、ゴミ箱の多さにびっくりするぐらいで、戸惑うことはまったくない。

   したがって、僕に言わせれば、中国の役所は人民に対して、少し親切すぎるのではないか。中国人が日本に旅行した時にあわてないためにも、日本の役所を見習って、人民にもう少し「自己責任」を求めるべきではないだろうか。

   公共バスの中のゴミ箱なんて、過保護も過保護、まさにやり過ぎである。(岩城元)

岩城 元(いわき・はじむ)
岩城 元(いわき・はじむ)
1940年大阪府生まれ。京都大学卒業後、1963年から2000年まで朝日新聞社勤務。主として経済記者。2001年から14年まで中国に滞在。ハルビン理工大学、広西師範大学や、自分でつくった塾で日本語を教える。現在、無職。唯一の肩書は「一般社団法人 健康・長寿国際交流協会 理事」
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