「正社員」という働き方を考える 東洋大・竹中教授は若者の将来を奪った「希代のワル」?(城繁幸)

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じつは竹中氏のスタンスはアンチ派遣業界

   もう一つ、よくある誤解も解いておこう。竹中平蔵氏がパソナの会長を務めていることから、「氏は派遣業界のロビー活動をしているんじゃないか」という声が、主にインターネットを中心に散見される。

   だが、実のところ、氏は派遣業界からみれば「業界全体の足を引っ張るやっかいな存在」でしかない。というのも、氏はかねてから「正社員制度そのものをなくすべき」(参考:「正社員廃止後の社会 残業減り、賃金上がりやすくなる」J‐CAST会社ウォッチ 2015年1月7日付)と、主張しているためだ。

   少なくとも大手企業で、派遣会社を使いたくて使っている企業はない。直接雇用にしてしまうと(期間5年で無期雇用に転換する「5年ルール」などで)柔軟な雇用調整ができないため、割高ではあるが仕方なく利用しているというのが実際のところだ。

   つまり、正規雇用のハードルの高さが派遣会社の利益の源泉となっているわけだ。

   竹中氏の言うように、正社員が解雇しやすくなれば、少なくとも大手企業は派遣会社の利用は最低限に抑えるはずだ。最初は派遣会社を利用しつつも、数か月経ったら直接雇用に切り替えて、派遣会社に払っていたフィーを労働者本人の時給に上乗せする企業が大半だろう。

人事コンサルティング「Joe's Labo」代表。1973年生まれ。東京大学法学部卒業後、富士通入社。2004年独立。人事制度、採用等の各種雇用問題において、「若者の視点」を取り入れたユニークな意見を各種経済誌やメディアで発信し続けている。06年に出版した『若者はなぜ3年で辞めるのか?』は2、30代ビジネスパーソンの強い支持を受け、40万部を超えるベストセラーに。08年発売の続編『3年で辞めた若者はどこへ行ったのか-アウトサイダーの時代』も15万部を越えるヒット。ブログ:Joe's Labo
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