大坂なおみ選手の「怒り」制御術に学ぶ 精神年齢「3歳」社長を「5歳」にする方法(大関暁夫)

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人間の感情の中で最も激しいものが「怒り」

   「怒り」は、人間の感情の中で最も激しいもの。その発生を許して表に出すなら、相手に不要な悪感情を及ぼすことになりかねませんし、自らの中に留めるなら、それはストレスに形を変えて、まともな思考や判断を妨げ、誤った行動に導きかねない要因にもなるのです。

   すなわち、「怒り」の感情の発生を抑えることが、周囲にとっても自らにとっても力を発揮するために大変な重要なカギを握っているわけなのです。

   大坂選手は、第2セットの逆転負けで自分に対して生じた「怒り」から転じたストレスを、アンガーマネジメントの力によって解消し、力を十二分に発揮できるよう制御したことで勝利したと言っていいでしょう。

   さて、企業マネジメントに目を転じれば、何かとすぐ怒る、怒鳴る、そんな怒りっぽい社長さん、かなりいますよね。

   社長はその立場的な強さもあって、部下に対して感情の遠慮がないことも多く、「怒り」を抑えるということに無頓着になりがちです。

   しかし、自分の「怒り」の感情がどれだけマイナスを生んでいるのか、考えたことのある社長は意外に少ないのではないかと思うのです。

   自分が冷静さを失うことのマイナスもさることながら、周囲を萎縮させたり、不機嫌にさせたり。「経営者の感情的な姿勢」というものは、一歩間違えればパワハラであり、転職者の離職理由の上位にも顔を出しているのです。

   そこで、アンガーマネジメントのコツをひとつだけ、お話しておきます。

   「怒り」を感じそうになったら、他の事を考えること。たとえば相手の顔を見ず、時計に目をやったり、壁に掲げられた絵やポスターに視線を移したりして、別の世界に思考を持っていくのです。とっさに100から7ずつ連続で引き算をするのも効果的であると、アンガーマネジメントの専門家は話していました。

   アタマをもたげかけた「怒り」の感情が消え去るのは、6秒後と言われています。この6秒をやりすごせば、落ち着いて冷静な物言いや判断ができるわけなのです。

   大坂なおみ選手流に言えば、すぐ怒る社長の精神年齢は3歳。アンガーマネジメントを身につけて、これを5歳にまで成長できれば、今までにない業績の伸展や社員の成長に出会えるかもしれません。(大関暁夫)

大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。近著に「できる人だけが知っている仕事のコツと法則51」(エレファントブックス)。連載執筆にあたり経営者から若手に至るまで、仕事の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
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