女子プロテニス・全豪オープンの決勝で、大坂なおみ選手が2018年の全米オープンに続いて4大大会を連覇し、アジア人初の世界ランキングトップに立つという快挙を成し遂げました。
全米オープンは相手選手の自滅にも助けられた形でのグランドスラム初制覇でしたが、今大会で感じられたものは、前回にはなかった安定感。それを支えたのは彼女自身の「成長」であったと、本人も認めるところでした。
流れを引き戻したトイレットブレイク
試合後のインタビューで彼女はこう話しています。
「負けていても意志があれば挽回して勝てること、ブレイクポイントも防げること、それを示せたと思う。開幕前3歳だった私の精神年齢は、5歳に成長したかな」
3歳の精神年齢が5歳に成長したというのは、いささか謙遜が過ぎるにしても、彼女の今回の成長、特に精神面での安定は本当に特筆すべきことだと思いました。
恐らく、テレビの生中継で試合を見ていた誰もが最初に彼女の勝ちを確信したであろう場面、1-0のセットカウントでリードした第2セットゲームカウント5-3で、あと一打決めれば優勝というところから、あれよあれよ連続4ゲーム落として5-7で逆にセット負けを喫しました。
これでセットカウント1-1のタイに。いわゆる逆王手です。今度はこの場面で、多くの観ている人が「このまま相手のペースで負けるかも」と思ったことでしょう。
誰が見ても完全に流れは相手の選手に有利でした。ここで彼女がしたことは、最終セットを前にトイレットブレイクをとることでした。そして驚くべきことに、コートに戻った彼女は、精神的な落ち着きを取り戻し、最終セットを第1セット同様の安定感あるプレーに戻すことで、見事に勝利を繰り寄せたのです。
彼女がトイレットブレイクというわずかな時間で、冷静さを取り戻したその秘密は何なのでしょうか。